富士通九州システムズが「DDIシミュレーター」最新バージョン2.3

薬物データベース拡充、PMDAのデータ解析環境として採用も

 2013.12.14−富士通九州システムズ(FJQS)は12日、薬物の併用投与時の薬物間相互作用を予測する「DDI Simulator」(DDIシミュレーター)の最新バージョン2.3を開発し、20日から発売すると発表した。薬物の併用によって薬効や副作用発現の変動が引き起こされるが、最近ではそれが原因で臨床段階や販売後に開発中止・販売停止になる例も目立っている。このソフトを利用すれば、そうしたリスクをあらかじめ回避することが可能。今回の最新版では予測できる範囲や精度をさらに向上させた。価格は年間ライセンスで250万円から。

 「DDIシミュレーター」は、体内動態パラメーターの情報に基づき、基質薬物の挙動を数理モデルを用いたシミュレーションによって定量的に予測するためのソフト。トランスポーター阻害および代謝酵素阻害(競合阻害)を同時考慮した薬物間相互作用が予測できるほか、実際の臨床で同時に起こる競合阻害とMBI(Mechanism-Based Inhibition)の状態をシミュレーションする統合モデルも実装している。

 さて、今回の最新版では、薬物データベースを拡充し、非相互作用薬4件、阻害薬5件のデータを追加した。これにより、米食品医薬品局(FDA)のドラフトガイダンスに記載されている薬物のカバー率は、非相互作用薬で51.4%、阻害薬で50.8%に達したという。とくに阻害薬については、阻害効果が緩やかなもの(Moderate)を中心に収載したが、これはFDAの改定ドラフトガイダンスの相互作用基準(AUCレシオで1.25)近傍を評価する可能性が高くなるため、実際のPBPKモデルによる薬物相互作用評価として効果があると判断したためだという。

 また、予測のもとになる“in vivo Ki値”についても、臨床データを洗い直して最適化を行い、さらなる予測精度の向上を図っている。

 同社では、ここ数年、米国で開催される関連学会などに出展し、FDAへの売り込みも進めてきている。それに加え、このほど国内では医薬品医療機器総合機構(PMDA)への導入が決まった。PMDAは新薬申請時に提出された臨床試験データを集めてデータベース化し、それを有効活用するための解析環境を構築しようとしており、そのツールとして「DDIシミュレーター」が採用されたもの。実際に今回の最新版が納入されるという。

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<関連リンク>:

富士通九州システムズ(ライフサイエンス/化学のトップページ)
http://jp.fujitsu.com/group/kyushu/services/lifescience/

富士通九州システムズ(DDIシミュレーターの製品情報ページ)
http://jp.fujitsu.com/group/kyushu/services/lifescience/ddi-simulator/index.html


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