富士通が東大先端研に「TCクラウド」サービス提供
IT創薬用途で利用、国内最大規模の計算環境
2013.12.21−富士通は19日、東京大学先端科学技術研究センター(RCAST)が実施するIT創薬研究向けに、解析シミュレーション用クラウドサービス「TCクラウド」を提供すると発表した。学内の電力使用の制約を超えて大規模な計算環境を使用することが目的で、2014年1月から利用が開始される。富士通では、今回の実績をテコに創薬分野でのクラウドサービスの拡大に弾みをつけたい考え。
「TCクラウド」は、PCサーバー「PRIMERGY CX250 S2 / CX270 S2」で構成され、230テラFLOPSを超える計算能力(CPUコア数で1万個以上)と、250テラFLOPSを超えるGPGPUアクセラレーション機構を備えたシステムを、ネットワーク経由で利用できるようにしたサービス。富士通が提供するアプリケーションをオンデマンドで利用できる“SaaS型”と、ISVパッケージやユーザープログラムをクラウド環境で動かす“PaaS型”の2タイプの使い方に対応している。
今回の東大先端研は、がんや生活習慣病などを治療する画期的新薬をIT創薬でつくりだす研究を進めており、とくに生体内でのたん白質の振る舞いを解析するシミュレーションで「TCクラウド」を活用する。動かすアプリケーションは、分子動力学法プログラム「GROMACS」と分子グラフィックスソフト「VMD」。どちらも、GPU対応での動作実績があるようだ。
ネットワークは、学術情報ネットワーク「SINET4」を経由した専用線接続となる。東大側からは、クラウドデータセンターの画面を転送した仮想デスクトップでの利用となるが、同社独自の高速画像圧縮技術“RVEC”(レベック)を採用しているため、遅延などはほとんど感じないという。
いずれにしても、今回のプロジェクトはIT創薬のためのプライベートクラウド環境として国内最大規模となるため、その成果が期待されるところ。東大先端研としては、将来的には製薬会社などの民間企業との共同研究でもこの環境を利用する予定だという。
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<関連リンク>:
富士通(TCクラウド紹介ページ)
http://jp.fujitsu.com/solutions/hpc/tccloud/
富士通(ライフサイエンスソリューション紹介ページ)
http://jp.fujitsu.com/solutions/life/products/research/
東京大学先端科学技術研究センター(トップページ)
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/