富士通がビッグデータ活用で10種の課題解決メニュー

約200件のモデル事例から利用シーン選定、人材育成サービスも提供

 2013.10.29−富士通は28日、ビッグデータに関する製品・サービスを体系化した「FUJITSU Big Data Initiative」(ビッグデータイニシアチブ)に基づき、顧客の最適なビッグデータ活用を促す10種類のオファリング(課題解決メニュー)を策定、提供開始したと発表した。実際に手がけた約200件のモデル事例の中から、とくにニーズが高い10種のテーマを選び出したもの。ユーザー企業は、導入効果や実装モデルを具体的にイメージでき、ビッグデータ活用のためのプロジェクトを迅速に進めることが可能。データ活用に精通した人材を社内で育成するための教育サービスも合わせて提供する。同社では、関連事業で今年度に約1,000億円(前年度比66%アップ)の売り上げを見込んでいる。

 富士通は今年の6月に「ビッグデータイニシアチブ」の製品体系を発表し、「ビッグデータイニシアチブセンター」を設立して、専従者30人、プロジェクトベースでトータル800人が関わる体制でビッグデータ事業を推進している。ただ、ユーザー企業の関心は高いものの、ビッグデータを活用するための具体的課題が明確になっていない企業が半数以上を占めるのが現状であることがわかってきたという。

 そこで今回、とくにニーズの高い利用シーンを4つのテーマ、10種のメニューにオファリング化し、あらかじめ製品・サービス・技術を組み合わせた実装モデルとして提供することにした。具体的には、リアルタイム経営の実現、故障予測による設備メンテナンス高度化、予兆検知による社会インフラ維持・管理、工場のリアルタイムエネルギーマネジメント、製造ラインのデータからの頻発停止の発生予測、需要予測の高度化によるSCM最適化、顧客接点情報の有機連携によるカスタマーエクスペリエンスの実現、金融サービスの個客向けパーソナライズ化、顧客需要分析による人的リソースの最適配置、M2M(マシンツーマシン)データによる商品・サービスの高度化−の10種となっている。

 このうち、「故障予測による設備メンテナンス高度化」は、プラントの設備の故障を予測し、最適なタイミングでメンテナンスを実施することで、コスト削減・設備稼働率向上を実現するもの。プラント各所に無線を使ったセンサーネットワークを設置し、外観や音などのアナログ情報を含めたビッグデータを集めて、設備の故障時期を正確に予測する。障害発生時には特定のパターンがあらわれることに注目し、大量のログデータをベイズ学習などのパターンマッチングで解析することにより、故障の予兆を検出する。モデルケースでは、10種類の障害パターンを学習させると、96%の精度で予知ができたという。

 この際、各設備が出力するメンテナンス用のデジタルデータだけでなく、画像・映像や音響などのアナログデータも活用できることがビッグデータの強み。振動データを取得して、平常時と平常を外れた状態の振動の差異(音響分析)を検出して故障の予知を行うことが可能だという。

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 また、ビッグデータ活用のための人材育成を目的に「ビッグデータ実践教育コース」を開設する。専門家による講義、ケーススタディ、ツールを使った実践を通じて、データサイエンティストチームのプロジェクト実践ノウハウを4日間で習得させ、ビジネスの課題解決や成長を達成するためのキーマンを育成する。開講は来年1月から。

 そのほか、ビッグデータ関連の事業化を狙うベンチャー企業を支援する取り組みを継続強化していく考え。今年8月からの第1次募集の結果、電動バイク用可搬バッテリー管理(レスクとの協業)など6社と商品化に向けたプロジェクトが進行中だが、来年1月から第2次募集を行い、協業をさらに広げていく。

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<関連リンク>:

富士通(ビッグデータイニシアチブの紹介ページ)
http://jp.fujitsu.com/solutions/bigdata/

富士通(10種のオファリング)
http://jp.fujitsu.com/solutions/bigdata/offering/


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