サターラがMBDD対応でコンサルティングサービス強化

非臨床/臨床データを統計解析、薬物相互作用予測など

 2014.03.12−生命科学研究におけるトランスレーショナルアプローチを支援するサターラは、国内においてMBDD(モデルベースの医薬品開発)が普及する機運をとらえ、製薬企業向けのコンサルティングサービスを強化する。これは、母集団薬物動態(PPK)や薬物動態/薬力学(PK/PD)、計量薬理学(ファーマコメトリクス、PMx)、分子モデリング/計算化学などの解析技術を利用し、知識や経験を加えて「モデル」と融合し、医薬品開発を効率化しようという考え方。米食品医薬品局(FDA)や欧米のメガファーマの間で先行した取り組みが行われてきたが、ここへきて日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)がデータ解析基盤の整備を開始するなど、国内で高まっている関心に応える。

 サターラ(CERTARA)は、2006年11月に米トライポスを買収したベクターキャピタルが、トライポスとファーサイト、シムシップの3社を統合して設立した企業。昨年12月にはアーセナルキャピタルに売却されたことで、新たな事業体制に移行している。3つのブランドは維持されており、ファーサイト製品とシムシップ製品については、旧ファーサイトの子会社だったベルキーサイエンスシズ(2010年6月設立)を母体にしたサターラ合同会社(2012年2月社名変更)が事業を推進。トライポス製品はワールドフュージョンが代理店を務めている。サターラ全体としては、創薬のエリアをトライポスが、非臨床分野をシムシップ、臨床分野をファーサイトがカバーすることで、医薬品研究開発の幅広い領域をサポートできる体制を築いている。

 今後、国内で力を入れるMBDDは、10年ほど前から欧米のメガファーマが積極的に取り入れている考え方で、非臨床/臨床データを統計解析して新薬開発の指針を得ようというもの。生理学的薬物速度論(PBPK)に基づいてヒトの薬物動態を予測し、健康成人と患者との違いや、小児や高齢者、妊婦、肝障害・腎障害患者などの特殊集団での解析などが行われる。最近ではとくに薬物相互作用解析が注目され、FDAのドラフトガイダンスも出されている。

 同社の製品との関係では、シムシップのシミュレーションソフトがFDAに公式に採用され、薬物相互作用解析で用いられている。実際の臨床試験に進む前にシムシップのソフトで予測しておけば、問題がない場合は試験が免除される利点があるという。一方、ファーサイト製品には臨床試験データ解析のためのさまざまなソフトが揃っており、副作用を抑えつつ薬効を最大化するための適切な投与量や投与方法を探る機能などが用意されている。いずれもソフトウエアを単独で提供するのではなく、コンサルティングを含めて万全の態勢でMBDDの実施をサポートしていく。

 日本のPMDAも昨年の調達でデータ解析基盤を整備する方針のもと、シムシップおよびファーサイト製品を導入した。これを機に、民間の製薬企業からこれらのソフトの引き合いやコンサルティングの問い合わせが増えてきているという。

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<関連リンク>:

米サターラ(トップページ)
http://www.certara.com/

米サターラ(シムシップのトップページ)
http://www.simcyp.com/

米サターラ(ファーサイトのトップページ)
http://www.pharsight.com/

サターラ(日本法人のトップページ)
http://www.certara.co.jp/


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