CCS特集2014年夏:アスムス
PHASEの商用版を提供、最新の機能強化に対応
2014.06.25−アスムスは、原子レベルでの材料シミュレーションを得意とするベンダーで、第一原理バンド計算ソフトウエア「asms/PHASE」の開発・販売・サポート、およびそれを用いた受託解析サービスを提供している。
「PHASE」は、文部科学省の「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」をはじめとする一連のプロジェクトを通して開発されてきたプログラムで、同社の開発陣もこれらに実際に参加してきていた。プロジェクト終了後は、PHASEシステム研究会を中心とする新たな体制で開発が続いており、このほど最新バージョンのリリースにともない、公開版の名称が「PHASE/0」に変更されている。
今回の機能強化のポイントは、ユーザーからの要望が強かったハイブリッド汎関数法を採用したこと。この手法によりバンドギャップの計算精度が改善されることが知られているが、実際にベンチマークを行ったところ、体積弾性率やフォノン振動数についても実験値をよく再現することが確認された。
また、ファンデルワールス相互作用を考慮した計算ができるようになり、光学異性体などの分子性結晶での格子定数の計算精度が向上。さらに赤外スペクトルの予測でも、光学異性体とラセミ体との違いをうまく再現できるようになったという。
同社では、こうしたPHASE/0の進歩に歩調を合わせて「asms/PHASE」のパッケージ化を行っており、次期バージョンも7月には完成する予定。とくに、独自に拡張した機能として、ラマンスペクトルの予測で、ピークの位置に加えてその強度を計算する機能を追加する計画である。