CCS特集2014年夏:京都コンステラ・テクノロジーズ

京大発の技術で創薬を支援、RMP対応の新製品も

 2014.06.25−京都コンステラ・テクノロジーズは、京都大学発ベンチャーとして創薬研究を支援する計算化学技術を提供している。独自の相互作用マシンラーニング法(CGBVS)を用いた化合物スクリーニング技術を生かし、スーパーコンピューター「京」を利用した創薬コンソーシアムにも参加している。さらに今年は、薬物の市販後の有害事象データを活用した医薬品リスク管理計画(RMP)に対応できる新製品も市場投入した。

 CGBVSは京都大学大学院薬学研究科の奥野恭史教授が開発した技術で、先ごろ特許を取得した。同社が独占実施権を与えられており、受託研究などのプロジェクトで利用するほか、インシリコスクリーニングパッケージ「CzeekS」として製品化している。

 「京」を用いたプロジェクトでは、化合物と標的たん白質との百億通りを超える組み合わせをCGBVSで検証した。プロジェクトはさらに精密な計算で絞り込むフェーズに進んでおり、1年間の延長も決まって、今年度からはメンバーの民間製薬会社も18社(スタート当時は11社)に増えているという。

 また、今年製品化した「CzeekD」は、薬物として有望な構造を持つ一群の化合物を発生させる“de novo”(デノボ)パッケージ。群知能最適化アルゴリズム(PSO法)とCGBVSを組み合わせて、広大なケミカルスペースを探索する。この技術も特許申請中だ。内部にハンガリーのケムアクソン社のケミストリーエンジンを採用している縁で、9月に米国で開かれるユーザー会でこの技術を紹介する予定。将来的には海外への普及にも挑戦したいという。

 一方、5月に新発売したのが「CzeekR」で、米食品医薬品局(FDA)のFAERS、および医薬品医療機器総合機構(PMDA)のJADERの有害事象レポートデータを内蔵。RMPのための業務フロー管理と、統計解析によるデータマイニングを支援するシグナル計算機能を兼ね備えている。製薬企業の安全性管理・ファーマコビジランス部門向けに共同開発したものだという。


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