CCS特集2014年夏:物質・材料研究機構

世界最大級の材料DB整備、内外で活用事例が増加

 2014.06.25−物質・材料研究機構(NIMS)の材料情報ステーションは、世界最大級の物質・材料データベース(DB)「MatNavi」をインターネット上で運営・公開している。2010年に全面リニューアルして以来、登録ユーザー数の増加ペースがあがり、現在では9万人を突破。データの蓄積・更新にともなって有用性も高まり、内外で活用事例が増えてきているという。

 MatNaviには、高分子材料の「PoLyInfo」、無機材料の「AtomWork」、金属材料の「Kinzoku」をはじめ、国内における長年の材料研究の成果を集めた20種類近いDB、データシートが公開されている。

 最近では、有償でデータを提供するなどの相談にも応じており、英グランタがクリープと疲労のデータを自社のDBサービスに組み込んで提供しているほか、国内の民間企業向けにPoLyInfoのデータを社内で活用するためのコンサルティングサービスを提供した実績もある。さらに、高分子の辞書をシミュレーションに利用したいという相談も受けているという。

 また、実際の活用例としては、昨年のシンポジウムで超伝導材料DB「SuperCon」を用いた岡山大学の事例が発表された。このDBには、実験をしたが超伝導を示さなかったというネガティブ情報が多く含まれており、逆にそこから化学ドープによって構造の量子揺らぎを発達させるという着想を得た結果、実際に新規の高温超伝導物質の開発に結びついたという報告がなされた。

 昨年から今年にかけては、電子構造計算DB「CompES」を拡充するための第一原理計算を所内で大規模に実施中。来年春には追加された情報を一般公開する予定で、積極的な活用が期待される。


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