菱化システムが引き合い増でプロウス製品を販売強化
ドラッグリポジショニングなどで高評価、予測モデルに磨き
2014.05.08−菱化システムが販売しているモデルベースの医薬品開発支援システム「SYMMETRY」の評判が高まっている。作用機序、安全性、ADME(吸収・分布・代謝・排出)、毒性、副作用、適応症、経路解析、ケモゲノミクスなど広範囲な予測モデルを多数搭載していることが特徴。スペインのプロウスインスティチュートが開発したシステムだが、もともとの学術出版社のノウハウを引き継いで世界中の文献情報を収集し、モデルに磨きをかけていることが大きな強みになっている。最近ではとくに適応症の予測やドラッグリポジショニングで注目度が高いため、国内での販売戦略を重点的に強化する。
化合物の構造的特徴から毒性の有無などを予測するソフトは、過去にも多くの先行例があったが、予測のもとになるデータセットが不十分なために実用域に届かなかったものが多かったとされる。開発元がソフトベンダーであったため、統計モデルの解析機能のつくり込みなどは得意だが、肝心のデータ集めには限界があった。
それに対し、プロウスインスティチュートは、学術出版社であり、製薬産業向けのデータベースプロバイダーであったプロウスサイエンスを母体に設立されたという経緯がある。この出版事業とデータベース事業は、2007年9月にトムソン・ロイターに売却されたが、出版社のノウハウは引き継がれ、現在でもデータベースの作成・更新は続けられている。その成果は3ヵ月ごとにレポートとしてまとめられ、「SYMMETRY Quarterly Report」としてユーザーに提供されている。モデルの検証例や新たに追加された予測モデル、SYMMETRYによる解析例などが掲載されており、毎回興味深い内容だとして人気があるという。
とくに、SYMMETRYの特徴は予測モデルの幅広さにあり、探索段階から開発研究、承認申請までのプロセスの各段階において意思決定を強力に支援できる。モデルは、ターゲットと化合物の相互作用を予測する作用機序モデル、相互作用とは独立に治療活性を予測する疾患ベースモデル、米食品医薬品局(FDA)との共同開発成果を含む毒性モデル、薬物間相互作用などに基づく副作用モデル、チトクロームP450やトランスポーターの活性を定性的に予測する薬物動態モデル、化合物と遺伝子または遺伝子クラスターとの相互作用を予測する遺伝子オントロジーモデル−に大きく分けられ、複数のモデルを組み合わせるスイート(コンセンサス)モデルでの利用も可能。
とりわけ、既存薬の新たな適応症を探るドラッグリポジショニングに役立つとして注目が集まり始めており、国内でも引き合いが活発化し、テスト使用で本格的に評価しようという製薬会社が複数出てきているという。同社では、14日から東京ビッグサイトで開催される「国際バイオテクノロジー展」に出展し、出展社セミナー(14日13:40から)で概要を広く紹介することにしている。
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<関連リンク>:
菱化システム(科学技術システム事業部のトップページ)
http://www.rsi.co.jp/kagaku/cs/index.html
菱化システム(SYMMETRY製品情報ページ)
http://www.rsi.co.jp/kagaku/cs/prous/index.html
プロウスインスティチュート(トップページ)
http://www.prousresearch.com/
これらはSYMMETRYのモデルを用いて予測が可能だという
Drug Name | Mechanism of Action | Original Indication | New Indication |
Nelfinavir | HIV protease inhibitor, PI3K signaling Inhibitor | HIV infection | Solid tumors (in combination with radiotherapy) |
Nelfinavir | HIV protease inhibitor, HSP90 inhibitor | HIV infection | Medullary thyroid cancer |
Telmisartan | Angiotensin receptor blocker, PPARy agonist | Hypertension | Diabetes |
Bithionol | Antitoxin inhibitor | Parasite infections | Ovarian cancer |
Valporic acid | HDAC inhibitor | Epilepsy | Ewing families of cancer |
Minocycline | Antibiotic | Bacterial infections | Bipolar disorder |
Ketamine | NMDA antagonist | Pain | Depression, alcohol despendence, suicidal cognition |
Valacyclovir | DNA polymerase inhibitor | HSV-1 infections | Cognitive improver in bipolar disorder |
Exetanide | GLP-1 agonist | Type 2 diabetes | Parkinson's disease |