CTCLSが製薬業向けITインフラをクラウドサービスで提供

CSV対応済みで負担軽減、査察対応の運用管理も

 2014.07.02−CTCライフサイエンス(CTCLS)は6月19日、医薬品や医療機器の開発・製造に使用されるITシステムに要求される“コンピューター化システムバリデーション”(CSV)に対応したIaaS型クラウドサービス「PharmaCUVIC」(ファーマ・キュービック)の提供を開始すると発表した。CSVに適応した業務システムを稼働させるためのインフラと運用管理サービスを提供するもので、初期導入費用と月額サービス料で利用することが可能。CSVに必要な各種文書の準備や当局による査察への対応などの負担が大幅に軽減される。システムの導入期間も、オンプレミスの場合に比べて最大で4ヵ月程度短縮できるという。

 CSVは、厚生労働省や米食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)などの規制が適用される業務で使用するコンピューターシステムを対象としたガイドラインで、システム自体が適正に開発され、意図した通りに動作することを検証・保証するためのバリデーションが求められている。システムの状態を維持するための運用管理、システム廃棄時の遵守事項など、ITライフサイクルの一連の業務の文書化や責任者による承認を含め、アプリケーションからIT基盤までのシステム全体を対象範囲としている。このため、CSV対応は各種規制とITの両方の知識が必要になるうえ、適合させるための多種多様な作業が発生することから負担が大きいといわれており、ベンダーがビジネスとして支援サービスを提供するケースも多い。

 CTCLSも、CSVに対応したコンサルティングやCSVに対応するための文書作成支援など、CSV関連サービスで20年以上の実績がある。今回の「PharmaCUVIC」では、こうしたノウハウを利用し、CSV対応に必要な計画・設計関連書類、構築関連書類、運用関連書類など、全部で180種類近い標準的な文書類をパッケージとして提供することにより、適合業務の標準化や簡略化が可能。クラウドデータセンターでの運用管理も、CSVの専門教育を受けた専任エンジニアが担当し、規制当局による調査・査察対応を含め、CSVの要件に沿った維持管理を行う。

 今回のサービスで使用するのは親会社である伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のデータセンター。CTC自体が国内に7ヵ所のデータセンターを構えるトップクラスの事業者で、さまざまなニーズに柔軟に対応できる体制を敷いている。

 今回は、ハードウエアリソースの提供を中心とする“IaaS型”であるため、アプリケーションはユーザーが用意する必要がある。ただ、CTCLSは実績豊富な業務パッケージを多数取り扱っており、将来的にはそれらのアプリケーションも含めた“SaaS型”のサービスへと発展させる計画。例えば、英インステムの安全性試験システム「Provantis」、米スターリムスのラボ情報管理システム「STARLIMS」、アイルランド・QUMAS社の規制対応文書管理システム「DocCompliance」、米アリスグローバルの安全性情報管理システム「ARISg/j」などのシステムを販売しているが、このうち欧米では、インステム製品が「Provantis Online」として20社、QUMASの「DocCompliance」は30社以上、アリスグローバル製品は「agOnDemand」として50社以上に対してクラウドサービスで提供された実績があるという。



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<関連リンク>:

CTCライフサイエンス(トップページ)
http://www.ctcls.co.jp/

CTCライフサイエンス(PharmaCUVIC 製品情報ページ)
http://www.ctcls.co.jp/service/lifescience_cloud.html


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