富士通九州システムズが「ADMEデータベース」で初のユーザー会

活用事例など講演、Non-CYP情報拡充への要望も

 2014.07.31−富士通九州システムズ(FJQS)は、25日に東京都内で初めての「ADME Database」(ADMEデータベース)ユーザー会を開催した。これは、薬物動態関連の情報をインターネット経由で検索できるオンラインサービスで、サービス開始から8年以上の歴史を重ねている。情報交換がしたいというユーザーの要望で実現したもので、当日は20人ほどが参加し、熱心な討議が行われた。

 「ADMEデータベース」は2005年8月にスタート。1年に4回の更新が行われており、現在はバージョン35が提供されている。ヒトの薬物代謝酵素および薬物トランスポーターを対象に、基質・阻害剤・活性化剤・誘導剤などの試験管内実験データ、ならびに薬物相互作用に関するヒト臨床データを収録している。データソースは1万2,000件あまりの文献で、全データ件数は約10万9,000件に達している。薬物動態関連の情報をまとめたデータベースとしては、世界最大級のものになる。

 今回は、午前中にユーザー会、午後からはオープンセミナーというプログラム構成。ユーザー会では、画面デザインを現代的で洗練されたものに変更してほしいなど、使いやすくするための建設的な意見が出たという。また、約80%の医薬品の代謝にチトクロームP450(CYP)が関与しているため、CYPを中心にデータを集めた「ADMEデータベース」は代謝的に安定な化合物を選択するなどの目的で有用だが、最近では予期しないNon-CYP代謝酵素による代謝が原因で高クリアランスや低バイオアベイラビリティを示す事例が報告されるようになっている。そこで、Non-CYP関係のデータを増やしてほしいという要望があった。そのほか、古いデータまで広くカバーしてほしいという意見もあったということだ。

 一方、オープンセミナーでは、大学と企業から活用事例が報告された。その中で、昭和薬科大学・薬物動態学研究室の山崎浩史教授は、代謝に関するヒトと動物の種差をカフェイン代謝を例に説明し、サルによる動物実験で安全だった開発候補品が、ヒト臨床試験で予想外の種差をあらわした事例などについて、「ADMEデータベース」の検索例を交えて解説した。

 また、製薬企業からの事例発表では、「ADMEデータベースは関連する情報がまとまっているので、PubMedで検索するのとでは、短時間で得られる情報量に格段の違いがある。まずADMEデータベースで当たりを付け、その後に必要であれば他のツールで肉付けするのが良い」という考えが示された。この企業では、差別化のための創薬分野の情報収集、代謝物検索結果の解釈、探索スクリーニング実施項目の検討、さらに臨床で併用される薬物との相互作用の予測まで、幅広い研究開発ステージで「ADMEデータベース」を活用しているという。

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<関連リンク>:

富士通九州システムズ(ADMEデータベース 製品情報ページ)
http://jp.fujitsu.com/group/kyushu/services/lifescience/asp/adme-database/index.html


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