菱化システムがクラウド版のELN 「CDD Vault」を発売

9年間の稼働率99.98%と高い信頼性、外部機関と安全にデータ共有

 2014.07.04−菱化システムは、米コラボレーティブ・ドラッグ・ディスカバリー(CDD、バリー・バニンCEO)と代理店契約を締結し、クラウド型の電子実験ノート(ELN)ソリューション「CDD Vault」の販売を開始した。製薬企業が、大学や公的研究機関などと共同研究を行う際のインフラとなるように設計されており、安全に研究データを共有することが可能。ビル&メリンダ・ゲイツ財団が支援している結核治療薬開発プロジェクト“MM4TB”において、民間製薬会社7社と4つの大学・研究機関とのコラボレーションの基盤に採用された実績があるという。

 CDD社は、イーライリリーからスピンアウトするかたちで2004年に設立された企業で、ファーストユーザーはカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)だった。同社の「CDD Vault」はクラウドベースで提供されるELNサービスであり、2009年には登録された化合物数が100万件を突破、2012年には蓄積した実験データが1億6,000万件に達している。この9年間でシステムの稼働率は99.98%と高い信頼性を誇っており、システムへのログイン数も10万件を超えている。

 ウェブインターフェースでブラウザーの種類を選ばず、プライベート型あるいはマルチテナント型の構成によりクラウドサービスとして利用できるため、展開が早く使い方も簡単。PipelinePilotやKNIMEなど、ケムインフォマティクス分野のデータ処理のための自動化ツールとの連携機能も組み込まれている。

 これまでの実績でとくに注目されているのが“MM4TB”に採用されたこと。結核治療薬の開発を目的に13ヵ国の25機関が参加しているプロジェクトで、CDD社もメンバーに加わっている。データ共有・公開の際のユーザー権限のコントロールも柔軟に行えるなど、コラボレーションを前提にデザインされているため、共同プロジェクトでの利用にも適していたようだ。

 菱化システムは、英IDBSのエンタープライズクラスのELN「E-WorkBook Suite」、ウェブベースの情報共有など柔軟なアプリケーション構築の基盤となる米ケムイノベーションのデータベースシステム「CBIS」などを持ち、多様なユーザーニーズに対応することが可能。今回の「CDD Vault」はクラウドベースでシンプル・低価格なELNを求めるユーザー向けに提供していく考えだ。







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<関連リンク>:

菱化システム(科学技術システム事業部のトップページ)
http://www.rsi.co.jp/kagaku/cs/index.html

米CDD(トップページ)
https://www.collaborativedrug.com/

MM4TB(トップページ)
http://www.mm4tb.org/


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