2014年冬CCS特集:アークスパン
安全に外部機関と連携、生物系情報能の登録も対応
2014.12.04−アークスパン(Arxspan)は、製薬業向けのクラウドベース次世代研究情報環境を提供する米国のベンダー。今年5月に日本オフィスを開設して本格的な事業展開を始めた。外部機関とのコラボレーションを基本に開発を進めるオープンイノベーション型のR&D戦略にマッチしたソリューションで、国内の製薬会社からも注目度が高く、年内にも国内初の実績を獲得できる見通しだという。
新薬創出の困難さが増している現在、自社内だけの研究開発の行き詰まりが指摘されており、外部のアカデミアやバイオベンチャー、受託機関との提携を中心に据えた研究スタイルが主流になるといわれている。そうした背景のもと、欧米で急速に実績を伸ばしているのが同社の「ArxLab」(アークスラボ)である。
ウェブブラウザーで利用するクラウドベースのソフトであるため、外部の研究チームに対するシステムの展開が容易。トレーニング不要で使いやすく、マルチ言語に対応していて日本語で利用できることも利点だ。創薬研究のプロセスに合わせた豊富なテンプレートが揃っているほか、CFRパート11などの法規制にも準拠している。
さらに、外部システムとの連携にも優れており、クラウド上で入力された研究データを社内システムに自動的に取り込むことも可能。クラウド型であるため、データセンターのセキュリティには十分な配慮を払っており、信頼性も高く、障害時のRTO(目標復旧時間)6時間、RPO(目標復旧時点)3時間など高いサービスレベルを誇っている。
また、研究のコラボレーション支援だけでなく、レジストレーションやアッセイデータ管理などの業務アプリケーションも提供される。とくにレジストレーションは、通常の化合物登録のほか、生物データの登録にも対応したことが特徴。生物系の多様なデータを扱うことができるように、データフィールドを自由に追加・編集・グループ化することが可能。画像データや測定データをそのままファイルとして読み込む機能も持っている。生物情報の管理に悩んでいるユーザーも多いため、非常に関心が高いということだ。
一方、アッセイデータ管理システムは今年リリースされたばかりの新製品。現在はこの種のデータをエクセルで管理しているユーザーが大半だが、エクセルファイルをインポートしてデータベースに登録する機能を実現した。