2014年冬CCS特集:富士通九州システムズ

ガイドライン迅速対応、国産ソフトならではの強み

 2014.12.04−富士通九州システムズ(FJQS)は、医薬品不純物の変異原性評価のためのICH M7ガイドライン、厚生労働省の薬物相互作用ガイドラインなど、国産ソフトの強みを生かした速やかな対応で注目を集めている。

 同社は、親会社である富士通や、パートナーの菱化システムが扱うCCS製品の販売も行っているが、海外に子会社の「FQSポーランド」を持ち、独自のCCS開発にも取り組み、欧米を視野に入れた事業展開を強化している。

 とくに、自社パッケージの「DDIシミュレーター」は、薬物の併用時の相互作用を体内動態パラメーターを用いて定量的に予測する機能を持っている。今年7月に厚生労働省医薬食品局が公開した「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」に対応した最新バージョンを9月から提供開始した。

 ガイドラインに基づき、代謝酵素の誘導による相互作用の予測(誘導モデル)機能が追加されており、生理学的モデルに基づいて体内における被相互作用薬、阻害薬/誘導薬の濃度推移を予測できる。また、被相互作用薬の代謝経路における各代謝酵素の寄与率を考慮し、小腸と肝臓における薬物相互作用を組み込むことでAUCレシオを予測する静的薬物速度論(MSPK)モデルが新たに利用可能になった。

 ガイドラインが出されたことで、国内のユーザーも真剣な検討を進めつつあるため、同社では11月に実践的なハンズオンセミナーを開催し、予測に必要となるPKパラメーターの算出方法、動物実験や試験管試験データから外挿する方法、実際にソフトを用いた予測の実行までを詳細に解説。参加者からはたいへんな好評を得たという。

 欧米での普及活動にも取り組んでおり、10月の国際薬物動態学会(ISSX)でも展示を行った。現在、薬物相互作用については日米EUの規制当局が個別のガイドラインづくりを行っている状況だが、すでに日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)に導入されたことから、米食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁(EMA)への展開を図っていく。

 一方、ICHのM7「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理」ガイドラインについては、薬理活性・薬物動態・毒性スクリーニング統合ソフト「ADMEWORKS」がOECDバリデーション原則にも対応していることを正式に確認し、M7戦線に唯一の国産ソフトとして名乗りをあげた。

 毒性では、M7に規定されたAmes試験のほか、発がん性、hERG阻害、染色体異常、皮膚感作性などにも対応しており、とくに皮膚感作性は欧州で動物実験が禁止された化粧品分野でも注目が高い。

 M7対応での問い合わせも増加しており、いままでは薬物動態研究を行う新薬メーカーが中心ユーザーだったが、あたらしくジェネリック企業なども見込み顧客になりつつあるという。

 強みは国産ソフトであり、日本語でのサポートができること。また、新しくモデルを構築する機能があるため、構造からの記述子だけでなく、社内の実験データも入れてモデルを再構築するなど、高度な使い方をするユーザーには評価が高い。ウィザード形式で簡単にモデルづくりに挑戦できることも受けている。


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