2014年冬CCS特集:ヒューリンクス

QMD法で大規模解析、カード表現使い思考を刺激

 2014.12.04−ヒューリンクスは、国内外の優れた科学技術ソフトを多数紹介しているが、各ソフトがそれぞれバージョンアップして実用性がますます高まってきている。また、ソフト販売にとどまらず、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)プロジェクトを通して開発した成果をもとに、計算化学コンサルテーションサービスにも乗り出した。

 同社が取り扱うCCS製品としては、定番の「ChemBioシリーズ」(米パーキンエルマー)、「Gaussian/GaussView」(米ガウシアン)に加えて、創薬支援ソフト「StarDrop」(英オプティブリアム)の最新バージョン6の注目度が高い。

 とくに、新機能で興味深いのがカードビュー。これは、1つの化合物の構造や物性値などの情報を1枚のカードで表現した表示形式で、同じ系統のカードをスタックしたり、カード間の関連性をリンクさせたりして、まるで遊んでいるかのようにして科学者の思考を刺激し、ひらめきをうながすようにつくられている。多数の分子のクラスタリングやマッチドモレキュラーペア(MMP)解析などを効果的に行うことが可能。おもしろいと注目するユーザーも増えている。

 また、独自の分子フィールドテクノロジーで創薬研究を効率化する「Forge」(英クレセット)が、名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所に導入された。分子の可視化機能を利用して、化学者と生物学者がアイデアを簡単に共有するなどの用途で活用されるという。

 一方、JSTプロジェクトで東京大学などと共同開発したのが、量子分子動力学(QMD)プログラム「ELSES」である。100ナノメートルスケールの大規模構造を1ナノ秒という長時間単位でシミュレーションできることが特徴で、タイトバインディグパラメーターを自動算出する機能を持っているため幅広い材料・物質に適用することが可能。電子材料・自動車材料開発への応用が期待されている。同社では、ポストプロジェクトで実証実験を進めるとともに、関連するコンサルティングや受託計算を事業化することにした。材料系国産ソフトとして、今後の推移が注目される。


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