2014年冬CCS特集:化学情報協会

新プラットホーム提供、特許ファミリーを自動集約

 2014.12.04−化学情報協会(JAICI)は、科学技術分野のオンライン情報サービス「STN」の新プラットホームの提供に力を入れる。化学・医学、および各種工学分野の学術文献、世界中の特許情報、化学物質関連情報を検索できるプロフェッショナル向けのサービスだが、ウェブベースの新プラットホームが利用できるようになって約2年がたち、実用性も高まってきた。従来版のSTNではできない機能も盛り込まれてきており、ユーザーの移行もかなり進んできている。

 STNは、米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)と独FIZカールスルーエが共同で運用しており、JAICIはSTN東京サービスセンターとしての役割を担っている。世界の主要な特許庁や研究機関の審査官・知財専門家などのプロの要求に応えることを目的としているため、検索漏れは絶対に許されない性格のシステムである。そのため、複雑な検索コマンドを組み合わせることにより、存在する情報であれば確実に探し出すことが可能。

 新プラットホームは、利用者が慣れたコマンドをそのまま検索に利用できる一方で、それ以外の操作性などを劇的に改善した。とくに、ヒット件数の制限などのシステム上の制約がなくなったため、数千万件単位の集合をつくって掛け合わせるなど、自由に質問式を組み立てることができる。以前はシステム制限を回避するためにさまざまな検索テクニックを駆使する必要があったが、質問式を考えるという本質的な作業だけに集中できるので、ストレスがなくなったと好評だ。

 また、検索結果を取得した時点で自動的に解析が完了しているため、フィルター項目をクリックするだけで簡単にデータを絞り込むことが可能。検索履歴はすべてサーバー上に自動保存されているので、過去の作業内容をいつでも呼び出せる。さらに、前回から更新・追加・削除された情報だけをボタン1つで取得できるマニュアルアラート機能も便利だという。

 それらに加え、とくに新機能として注目されているのが、拡張特許ファミリーテーブル機能。これは、特許の優先権を利用して出願した関連する特許の出願群をまとめる機能で、通常は各国の特許データベースを順番に調べて集約するという面倒な作業になるが、新プラットホームではワンボタンで各国特許からすべて一括してまとめて、エクセル形式でダウンロードすることが可能。非常に便利になったとして、利用者の間では評価が高い。

 新プラットホームで利用できるデータベースも随時追加されており、来年には医学文献のデータベースが加わる予定。特許全文データベースは世界知的所有権機関(WIPO)、欧州特許庁(EPO)のほか、各国特許としてオーストラリア、中国、英国、インド、日本、韓国、米国がすでに利用可能になっている。該当する特許は、日本語、中国語、韓国語での検索が可能。また、化学物質情報に関しては、来年にはマルクーシュ検索機能が追加される予定である。


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