CTCライフサイエンスがICH-M7対応ビジネス推進

英Lhaasaのスイート製品を発売、同一基盤上でハザード評価

 2014.12.11−CTCライフサイエンス(CTCLS)は、英Lhasaが開発した医薬品中のDNA反応性不純物の変異原性評価の統合基盤「Lhasaナレッジスイート」の販売を開始した。来年に正式に施行される日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)のM7「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理」ガイドラインに対応したソリューションで、新製品「Sarah Nexus」を追加したことにより、共通のプラットホーム上でM7ガイドラインに適合したハザード評価を一貫して行えるようになった。

 ICHのM7ガイドラインは、原薬および製剤に低レベルで存在するDNA反応性(変異原性)不純物の評価と管理について推奨される手順などをまとめたもの。通常は、ネズミチフス菌を用いて復帰突然変異を検出するAmes(エームス)試験によって評価されるが、構造活性相関(QSAR)による予測・評価が認められたことが大きなポイントになっている。もともと微量な不純物を単離・精製して安全性試験を行うことが困難である場合が多いため、インシリコでの予測に適したテーマだったと考えられている。

 今回の「Lhasaナレッジスイート」を構成するのは、毒性データベースの「Vitic Nexus」、知識ベースの毒性予測ソフト「Derek Nexus」、統計ベースの毒性予測ソフト「Sarah Nexus」など。M7ガイドラインでは、知識ベースと統計ベースの2種類のQSARソフトを使用することを求めているが、その両方を提供できるベンダーは現在のところ同社だけである。すべてが同一のNexusプラットホーム上で利用できることが最大の特徴となっている。

 とくに、新しく開発された「Sarah Nexus」は、毒性予測で長年の実績を持つ「Derek Nexus」を補完する位置づけとなるもので、統計的アプローチによる変異原性予測機能を持っている。化合物のフラグメント構造それぞれの毒性傾向を示した“Hypothesis”の総和によって化合物全体の毒性を評価する。予測結果の根拠データへのアクセス、レビューも可能。それぞれの構造フラグメント情報と、変異原性に対する陽性/陰性の判定、予測の信頼値が示される。

 一方の「Derek Nexus」は、安全性エキスパートによる毒性評価手順を再現したイメージのソフトで、多くの知見から得られた部分構造毒性相関の経験則を定義した知識ベースがコアになっている。毒性のある化合物から共通のルールを導き出したもので、約750種の警告構造が登録されている。知識ベースの構築機能もあり、ユーザーが独自のルールを作成することも可能。

 また、「Vitic Nexus」はLhasaの専門家によってキュレーションされた毒性データベースで、遺伝毒性についてはインビトロで約9,000化合物、インビボで約3,000化合物のデータを収録している。世界中のデータソースから毒性情報を集めているという。

 M7ガイドラインでは、変異原性のリスク評価を行ったあと、その遺伝毒性不純物(GTI)の管理オプションをパージファクターと呼ばれる新しい概念で検討するところまでも規定されている。そのため、Lhasaでは1年前にコンソーシアムを立ち上げて支援ツールの開発を進行中。同社はこうした情報も入手しやすい立場にあるため、国内ユーザーに向けてM7全体の取り組みをサポートできる強みを訴えていく考え。専任の営業・技術・サポートエンジニアを整備して、万全の構えでM7対応ビジネスに取り組む。

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<関連リンク>:

CTCライフサイエンス(トップページ)
http://www.ctcls.co.jp/

CTCライフサイエンス(M7対応ソリューション紹介ページ)
http://www.ctcls.co.jp/products/lhasa/ich_m7.html


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