パーキンエルマーがクラウド型電子実験ノート「Elements」

化学・生物などノートを自由に構成、アカデミック市場向けに展開

 2014.12.11−パーキンエルマーは、クラウドベースで利用できる電子実験ノート「Elements」を製品化した。昨年買収した米Winguが開発したソフトだが、ChemDrawとの連携などの機能追加を行っており、おもに大学向けなどのアカデミック市場に売り込んでいく。生物および化学系の研究用途に適しており、記入したい項目欄を自由に追加・レイアウトできる柔軟性を備えている。クラウドベースなので初期投資不要で、タブレット端末やスマートホンからも利用することができる。

 Wingu社はグーグルが支援していたベンチャーで、2013年の第4四半期にパーキンエルマーに買収されている。米国で「Elements」として発売されたのは今年の春で、日本市場に対しては10月に行われた日本ユーザー会で初めてお披露目された。ただ、現時点では日本語フォントが正しく表示されないなどのいくつかの問題点が残っているため、国内での本格的な発売は来年からになるもよう。

 大きな特徴は、“エレメント”を自由に配置することによって、ユーザーが自由にノートを構成できること。実験の計画から実験内容の記述、実験後のデータの整理やレポート作成まで、わかりやすい操作で行うことができる。エレメントには、「目的・概略の記述」「反応式の記述、試薬量の自動計算」「実験方法の記述」「画像の添付」「分析データの添付」「結果・考察の記述」などが用意されており、エレメントを選ぶと、その項目がノート内に自動的に配置される。各エレメントの位置や大きさはマウスのドラッグで自由に変更できる。ノートに記入して完成させたあとは、共有の設定(リードオンリー、編集可能など)を行い、サインしてクローズするという手順になる。

 個人の生産性向上をサポートするためにダッシュボード機能を持つほか、ChemDraw Directによる反応式の描画と化学量論表の作成が可能。オフィスドキュメント、各種画像データ、測定器の生データなども保管することができる。また、だれがどのページを編集したかの履歴表示など、電子実験ノートとしての基本的な機能も備えている。

 とくに大学の研究室などで、学生がどのような実験をしているのかを把握するのが難しい、学生が毎年卒業していくのでノウハウの蓄積が難しい、ノートの付け方が千差万別で必須項目が記入されていないことがある、過去に合成した化合物の分析データがみつからない、卒業生が残していく実験ノートや分析データの管理がたいへん−といった悩みの解決策になるという。

 米国では、年間利用料金が民間向け480ドル、アカデミック向け240ドル、官公庁向け385ドルで提供中だが、国内ではまずはアカデミック向けにプロモーションを行う予定。フリートライアルも用意されており、まずは試してみてほしいとしている。

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<関連リンク>:

パーキンエルマー(インフォマティクス事業部の日本語トップページ)
http://informatics.perkinelmer.co.jp/

米パーキンエルマー(Elements 製品情報ページ)
http://www.cambridgesoft.com/Ensemble_for_Chemistry/Elements/Default.aspx

米パーキンエルマー(Elements ログイン/フリートライアルページ)
http://elements.perkinelmer.com/


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