サターラが分子モデリングシステムを機能強化

合成経路予測機能を統合、スコアリングで複数要件をクリア

 2015.01.20−サターラ(CERTARA)は、医薬分子モデリングシステムを大幅に機能強化し、「Muse Invent」バージョン4として販売開始した。望ましい特性を持つ分子構造をデザイン・最適化する機能に加え、設計した化合物を合成するための合成経路を予測する機能が統合されたことが最大の特徴。この2つの機能を合わせ持つ製品は他にはなく、米国では実現可能性の高い妥当な合成経路が示されるという評価が得られているという。国内では、既存代理店のワールドフュージョンを通して販売するほか、医薬に加えて化学分野にも適応できることから直販でも普及を図ることにしている。

 新製品の「Muse Invent」は、旧バージョンの「Muse」に合成経路設計機能を新たに統合して、名称を一新したもの。ターゲットに対する薬効や選択性、ADME(吸収・分布・代謝・排出)特性を最適化する一方で毒性を低減させるなど、複数の要件を満足させて分子モデリングを行う機能を備えている。それらの要件はスコア関数として組み込むことが可能で、“トライポススコア”などのあらかじめ用意されたスコアのほか、ユーザー独自のスコアを使用することも可能。数値化できる指標であれば、なんでも組み込めるということだ。

 使い方は旧Museと同じで、まず出発点となる構造体セットを与え、それを親として子世代の構造体を発生させる。そして、各世代の子構造体をスコアリングして、最高スコアの子構造体のみを残す。この作業を、指定した世代数または構造体数に達するまで繰り返すことで、最適なスコアを持ち、設計基準が十分に満たされた構造体をつくり出すことができるという。

 最新版の「Muse Invent」では、こうした構造デザインの過程でそれぞれの化合物の合成経路を示してくれることが大きなメリットになる。反応経路の予測は、既存の反応情報を集積した知識ベースによって行われるが、より細かな要素を検討(特定のフラグメントの追加・削除、元素種の変更、結合次数の変更など)できる“ドリームモード”なる機能も備えている。

 合成経路設計支援システムは、反応スキームを逆にたどる“逆合成”という考え方のもとに前駆体を予測するシステム。1980年代を中心に欧米でいくつもの研究組合が組織され、盛んに開発が試みられたが、当時は製品レベルのシステムは完成しなかった。その後も若干数のプロジェクトは継続し、一部に製品化されたシステムもあるが、広く普及するには至っていない。今回の「Muse Invent」に搭載された合成経路設計機能がどのように進歩したものであるか、またその実用性に関する反響が期待されるところだ。

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<関連リンク>:

サターラ(日本法人トップページ)
http://www.certara.co.jp/

サターラ(Muse Invent 製品情報ページ)
http://www.certara.co.jp/product/muse-invent/


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