英PSEが経口投与薬物の吸収予測ソフト
ファイザーなどと共同開発、臨床試験サイクル短縮に効果
2015.02.18−英プロセスシステムズエンタープライズ(PSE)は、医薬製剤の経口吸収を予測するシミュレーションソフト「gCOAS」を製品化したと発表した。システムベース薬学(SbP)アライアンスを通じてファイザーなどと共同開発したもの。医薬原体や製剤、または異なる投薬条件下でのヒトの腸での吸収を予測することができる。原薬(API)の服用量、API結晶の粒度分布、その他の関連する特性などの点で、最良の投薬形態を探ることに役立つという。
PSEは化学工学分野のプロセスシミュレーションベンダーで、「gPROMSファミリー」の製品名で高機能モデリングソフトを開発している。主に化学/石油化学、ファインケミカル、エネルギー、食品/消費財、環境などの分野を対象にしつつ、最近では特定の用途に特化した製品づくりを進めてきている。今回の「gCOAS」はやや異色だが、そうした戦略の一環に連なる存在であるようだ。
SbPアライアンスの活動は昨年3月に発表されており、ファイザー以外の製薬企業も加盟している。今回、ドイツのデュッセルドルフで開かれた「the Drug Development and Formulation Summit」で製品版のソフトが公開されたもよう。ファイザーによるテストでは、高い予測精度が得られ、より良い製剤設計と臨床試験のサイクル短縮に効果が認められたとしている。
統計的なフィッティング技術に基づくソフトとは異なり、「gCOAS」は化合物に固有の溶解度、透過性、pKa、logPなどの直接測定可能なデータを入力に使用することが特徴。このため、製剤科学者自身が簡単にシミュレーションを実行できるとともに、前例のない薬物を臨床で用いるファーストインマン試験(FIH)のための予測精度を確保するという観点でも重要性が高いという。
経口投与薬物の腸管吸収については、米国のシミュレーションズプラス社が開発した「GastroPlus」が有名だが、これ以外には目立った製品は存在していない。その意味でも、今回の「gCOAS」の反響が注目される。
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