IP500アライアンスが日本市場での活動を開始
IoT時代の無線通信規格、大規模センサー網の活用推進へ
2015.02.25−IoT(モノのインターネット)時代の新たな無線通信規格として注目されている独IP500 Alliance(IP500アライアンス、本部・ベルリン)が24日、日本およびアジアでの拠点となる「IP500 Alliance Japan」を東京に設立したと発表した。今後、日本での会員拡大を図るとともに、海外の企業とも連携して、IoTに関連した新しいビジネスモデルの構築を目指す。アプリケーションを主体にして、それに必要な規格や仕様を定めていくトップダウン型のアプローチが特徴だとしており、欧州ではビルオートメーションや都市防災などの分野で普及が進んでいるという。
IP500アライアンスは、EU域内の有力なOEMメーカーやシステムインテグレーター合計377社が企業連合を組んで活動している非営利組織。低コスト低消費電力で大規模ネットワークを構築できるセンサーネットワークの無線通信規格の開発を進めている。今回の日本事務所設立に合わせ、日本企業として、オムロンと豊田通商がメンバーとして入会済み。
日本事務所の所在地は東京都港区東麻布1-7-7(フォレシティ東麻布)のアーキテクトグランドデザイン社内に置かれ、同社の創設者である豊崎禎久氏が日本事務所プレジデントを務める。電話は03-6459-1995、FAXは03-6459-1996。活動は非営利なので、一般社団法人の申請も行うという。
さて、IP500アライアンスの規格だが、周波数帯域としてEUは868MHz、米国は915MHz、日本では915MHz/928MHzを使用。メッシュネットワークでアドホックにデバイス間の通信ができることが基本で、どこかが故障しても他のルートで迂回できる冗長構成を取っている。IEEE802.15.4-2006、IPv6、6LoWPAN、UDP、BACnetTMなどの標準に対応しており、日本のWI-SUNなどもサポートしていく。1つのネットワーク当たり数千個規模のセンサーネットワークを構築でき、デバイスの寿命も電池動作で5〜10年と長い。
とくに、EUの防火防犯認定規則であるVdSの認定を受けており、セキュリティ用途に対応できることが大きな特徴になっている。このため、EUではHEMS(ホームエネルギー管理システム)とセキュリティ(防犯、防火)を一元管理するプロジェクトで実用化が進展。例えば、火災発生時には外出先のスマートホンに伝達するとともに消防署への通報も実施。消防団は携帯したドアアクセスコントロールを用いて、ドアを壊す作業なしで火元にアクセスができるという。
IP500アライアンスでは、この技術を採用したセンサーデバイスを開発するための評価キットを提供中。日本市場向けのキットは6月から提供開始される。現在のモジュールは2チップ構成だが、今後シングルチップのモジュール設計を行うとしている。最終的には1チップで2ドル以下のコストをターゲットとしており、携帯電話などにも手軽に組み込める半導体を実用化したいという。
日本での普及体制としては、まずはコアとなるメンバー企業6〜8社ほどを固め、年内にはトータルで30社ほどの加入を目指していく。本格的な普及のタイミングとして、2020年の東京オリンピックを狙っているようだ。
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