BIOVIAが「Discovery Studio」の最新バージョン4.5をリリース

抗体の自動モデリング機能など搭載、WebGLにも対応

 2015.05.22−ダッソー・システムズ・バイオビア(BIOVIA)は、生命科学向けの統合モデリング・シミュレーションソフト「Discovery Studio」(ディスカバリースタジオ)の最新バージョン4.5をリリースした。新しいプラットホームである“BIOVIA Foundation”(BIOVIAファウンデーション)に対応し、WebGLのサポートによって、ブラウザー内でのリッチな3D分子グラフィック表示を可能にしたほか、ノンエキスパートにも使いやすい抗体モデリング機能などを実現している。最近の市場では、抗体医薬の分子設計ならびにタンパク質工学のシミュレーションで引き合いが増えており、今回のバージョンアップも注目度は高い。

 「Discovery Studio」の最近の機能強化は、2013年9月にバージョン4.0、2014年6月にバージョン4.1、そして今年の3月にバージョン4.5というペースで行われてきている。とくに今回の「Discovery Studio 4.5」(DS4.5)は、ダッソー・システムズとの統合後の製品体系の刷新の一環として、プラットホームが“BIOVIA Foundation バージョン9.5”(旧Accerlys Enterprise Platform)に対応することにより、他のBIOVIA製品との相互運用性が向上しているという。

 全般的な新機能としては、WebGLのサポートが注目される。これは、ウェブブラウザーで3Dグラフィックスを表示させるための標準技術で、主要なブラウザーのほとんどで利用することができる。プラグインなしなので使いやすく、ブラウザー上でDS4.5のネイティブクライアントと同等のレンダリングが可能。BIOVIA Foundation環境でウェブクライアントを幅広く展開する場合など、実験研究者に意識させることなく、ブラウザー上でDS4.5のリッチなグラフィック機能を提供することができる。

 また、実験研究者が喜びそうなのが“2D Ligand Interaction Diagram”機能。水素結合やパイ軌道・シグマ軌道の相互作用などを3次元分子モデルと2次元構造式の両方で対応させながら表示することができる。今回は最新の非結合相互作用形式をサポートしており、表示のパフォーマンスや信頼性、レイアウトなどが改善されている。

 次に、生体高分子系の機能では、抗体モデリング用の新機能“Antibody Modeling Cascade プロトコル”が導入された。抗体医薬の分子設計における最大の問題は、ターゲットとなる抗体のモデルが存在しないこと。このため、ホモロジー法で抗体のモデリングを行う必要があるが、これは専門的な知識を要する敷居の高い作業となる。

 今回の新機能は、いわば専門家の職人技をベストプラクティスとして取り込んだもの。鋳型となるテンプレートをみつけ、フレームワークを構築し、ループを作成するという一連の手順が内蔵されており、具体的にはL鎖とH鎖の配列を入力するだけで、FabとFv領域(可変領域)の3次元モデルを自動的に組み立ててくれる。抗体モデリングコンテストのAMA-IIで高い評価を得た手法を組み込んでおり、専門家が手作業で行うのと同等以上の精度を持つモデルが得られるという。

 一方、計算化学系の機能では、分子動力学(MD)プログラムの最新版「CHARMm 39b1」をサポートした。とくに、新しいcharmm36力場を利用することができる。タンパク質、ヌクレオチド、炭水化物、脂質などに対応しており、パラメーターの割り付け方法もアミノ酸残基をベースにしたものから部分構造をベースにしたものに変わっているため、非常に使いやすくなっている。

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<関連リンク>:

BIOVIA(日本法人トップページ)
http://accelrys.co.jp/

BIOVIA(Discovery Studio 製品紹介ページ日本語版)
http://accelrys.co.jp/products/discovery-studio/index.html

BIOVIA(Discovery Studio 製品紹介ページ英語版)
http://accelrys.com/products/discovery-studio/


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