2015年夏CCS特集:富士通九州システムズ
M7予測モデル精密化、薬物投与の最適化でも注目
2015.06.25−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物相互作用に基づく副作用を予測する「DDIシミュレーター」、代謝などの薬物動態研究を効率化する「ADMEWORKS」「ADMEデータベース」などの自社開発製品の機能強化を着々と進めている。事業としては、富士通や菱化システムのCCS製品の販売、個別のシステムインテグレーション案件なども手がけており、昨年度は菱化システムの材料設計支援システム「MedeA」「SciMAPS」などが好調だったという。
ADMEWORKSの関連では、医薬品中の変異原性不純物の毒性評価を求めた“ICH-M7”ガイドラインに対応した“グローバルQSARプロジェクト”への取り組みが注目されている。これは、国立医薬品食品衛生研究所が実施しているプロジェクトで、AMES変異原性の有無を予測するQSARモデルの信頼性および適用性を高めることを目的としたもの。予測ソフトを開発している海外ベンダー勢に交わり、国内ベンダーとしては同社だけが参加している。
同研究所から提供される試験データを利用し、感度の高い予測モデルを目指して開発を進めているが、すでに製品化されている予測モジュールも利用できるため、具体的な引き合いも活発化。これまでこの種のソフトを使ったことのないジェネリック企業などからも関心が寄せられているいる。M7対応の唯一の国産ソフトであるため、市場の注目度は高い。
一方、DDIシミュレーターは、新薬開発での利用に加えて、医療現場で投与する薬物の相互作用を確認する用途での医療機関向けの提案活動を開始した。治療薬物モニタリング(TDM)分野で注目され始めており、投与量や投与間隔をDDIシミュレーターで解析・最適化することにより、副作用の少ない薬物投与が可能になると期待されるという。次世代電子カルテに関連した臨床判断支援システム(CDSS)の一部を担う製品に成長させたい考えだ。
DDIシミュレーターの機能強化としては、パラメーターを算出しやすくするためのフィッティング機能を開発中。また、代謝酵素の誘導モデルの機能改良、さらに複数CYPを誘導することで注目されているリファンピシンのデータ追加を最優先で進めている。