2015年夏CCS特集:富士通
創薬情報基盤を再構築、ケムアクソン製品販売開始
2015.06.25−富士通は、製薬業向け情報基盤ソリューションの提供で攻勢をかける。米パーキンエルマーの電子実験ノートブック(ELN)を中心に多くの実績をあげていることに加え、昨年からパトコアと提携しており、ハンガリーのケムアクソン製品を核にした研究ナレッジシステムの構築に力を入れていく。
昨年から今年にかけて好調なのがELN。先頭に立って国内のELN市場を開拓してきたのが同社で、最近ではシステムのバージョンアップに際して完全電子化を実現したいというニーズを的確にとらえて、実績をさらに伸ばしている。化学合成部門から、生物系・プロセス化学系へと対象領域も拡大しており、化学・食品などの非製薬業への広がりもみられるという。
これに加え、ケムアクソンの国内総代理店であるパトコアと連携して狙うのが化合物データベースの更新を中心とするいわゆる“ポストISIS”需要。とくに、ケムアクソンの「Plexusスイート」が戦略商品となっており、ウェブ環境の使いやすいユーザーインターフェースと最新のITをベースに、創薬研究の情報基盤を高度化させることが可能。既存システムのリプレースを積極的に仕掛けていく。
また、増大する実験データや分析データを有効活用するためのデータアナリシスソリューションとして「ACD/Labs」や「Spotfire」にも力を入れていく。
一方、計算化学/モデリングシステムは自社開発製品の「SCIGRESS」が中心になる。主に材料設計分野で活用されており、約140機関への導入実績を持つ。計算エンジンとして分子動力学法や半経験的分子軌道法の独自プログラムを内蔵しているが、最近では第一原理計算や量子化学計算の需要が伸びているため、オープンソースソフト(OSS)の外部エンジンとの連携を強化していく方針。GAMESS、LAMMPS、PHASEなどに対応させるとともに、解析機能も強化させている。
また、科学技術計算専用の「TCクラウド」を利用したサービスもさらに拡充していく。