2015年夏CCS特集:分子機能研究所
独自手法の創薬ソフト、スクリーニング機能高速化
2015.06.25−分子機能研究所は、加ハイパーキューブの分子モデリングシステム「HyperChem」を基盤に、独自のノウハウで開発したSBDD(ストラクチャーベースドラッグデザイン)創薬支援パッケージを開発・販売している。独自の計算手法やアルゴリズムを組み込んでいるため、大学や公的研究機関と実証研究も行っており、興味深い成果もあがりつつあるという。
製品は、「Homology Modeling Professional for HyperChem」と「Docking Study with HyperChem」の2つで、最新バージョンを今年1月にリリースしたばかり。ターゲットタンパク質の立体構造が不明な場合でも、アミノ酸配列から立体構造を組み立てて、候補化合物群とのドッキング解析を行い、バーチャルスクリーニングまでの一連の研究を効率化することができる。HyperChem自体は背後に隠れており、直感的でわかりやすい専用GUIを通して操作できることが特徴。
とくに、今回の最新バージョンでは、並列処理に対応したスクリーニング向けのクラスター版の機能を強化した。これまでは結合の回転角をきめ細かく設定して、すべてのコンホメーションを精密に解析するようにしていたが、今回はコンホメーションの上限数を設けて妥当な構造を発生させるアルゴリズムを組み込むことで全体の計算量を削減し、高速スクリーニングを可能にする機能を追加した。
また、HyperChemの分子動力学(MD)エンジン向けのトラジェクトリー解析機能を強化しており、リガンドが活性ポケットにエントリーする際のメカニズム解析など、長時間スケールでのMDシミュレーションが効率良く行えるようになった。
そのほか、ホモロジーモデリングパッケージは買い取りが基本だったが、新たに年間ライセンスを用意し、導入の初期費用を低く抑える工夫をした。(ドッキングスタディパッケージは以前から年間ラインセンスになっている)