2015年夏CCS特集:QuantumWise Japan

原子スケールモデル化、デバイス設計の実用性向上

 2015.06.25−QuantumWise Japan(クオンタムワイズ)は、電子デバイスなどの原子スケールモデリングのための統合プラットホームを提供。もともとは電子輸送特性を計算するのがメインだったが、解析技術の高度化にともない、熱電変換や圧電変換など計算できるプロパティの幅が大きく広がってきている。

 同社には、計算エンジンの「Atomistixツールキット」(ATK)と、モデル構築から計算の実行、結果の表示までを行う「Virtual NanoLab」(VNL)の2種類の製品があるが、最近では電子デバイスの微細化が一段と進んだことで、民間での利用が活発化してきている。大手半導体メーカーが本格的に開発に取り入れつつあり、同社でも実用性を高めるための開発に力を集中させている。

 例えば、今年の夏にリリース予定の次期バージョンで組み込まれるAKMC機能は、燃料電池の電極で生じる電気化学反応をシミュレーションするツールで、触媒の探索などに威力を発揮すると期待される。現実の系に近いより良い近似で、電極表面の反応を解析できることが特徴。さらに今後の方向性としては、実際の電子回路設計ソフトであるEDAツールとの連携も考慮されつつある。ATKで計算したパラメーターを使って、回路シミュレーターが走るような時代が来つつあるということだ。

 VNLから利用できる外部計算エンジンのサポートも拡大しており、VASP、ABINIT、FHIaims、Quantum Espresso、GPAW、SIESTA、Wien2kなどが利用できる。ソフトの使いやすさや、エンジンの選択の幅の広さで、競合製品を大きくリードしているとしている。

 なお、アカデミック市場では、このところ中国やインドの大学での導入が急拡大しており、両国を合わせると日本市場の売り上げに匹敵するまでに需要が伸びてきているという。


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