米CASの化学物質登録数が1億件に到達

50周年の節目に大台、急性脊髄性白血病治療薬として特許収載

 2015.07.14−米国化学会(ACS)の情報部門であるケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、化学物質データベース「CAS REGISTRY」に1億件目となる物質が登録されたと発表した。米Coferon社が急性骨髄性白血病の治療薬として設計した物質で、CAS登録番号1786400-23-4が付与された。「CAS REGISTRY」は作成が開始されてから今年で50周年の節目を迎えているが、1億件のうちの約7,500万件はこの10年間に登録された物質である。このペースが続けば、次の50年間に新たに6億5,000万件以上の新規化学物質が追加されることになるという。

 「CAS REGISTRY」は、網羅する物質数や信頼性の観点から世界中の化学・製薬企業、大学・政府機関・特許発行機関などに認められた世界最大の化学物質データベース。CAS登録番号を正確に知ることのできる情報源として利用されており、有機および無機物質の登録件数が1億件を突破した。この中には合金・配位化合物・鉱物・混合物・ポリマー・塩なども含まれており、この1億件のほかに6,600万件のタンパク質や核酸などの配列情報が収録されている。

 さて、記念すべき1億件目の物質は、米Coferon社が世界知的所有権機関(WIPO)に出願した特許「WO2015081280」に報告している低分子化合物で、急性骨髄性白血病の治療薬を目的に設計されたもの。ケイ素ベースのリンカーになる物質だという。

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 「CAS REGISTRY」が50年にわたって主導的地位を保持しているのは、開発投資に力を入れてきたことが大きな要因だという。1965年にプロジェクトがスタートしたのち、初期の数年間は物質情報をインデックスカードに記録していた。その後のパンチカード記録システムを経て、現在は完全に電子化したシステムを用いている。システムの最適化を重ねることで、登録数の急増に対応したスピードで情報を分析・公開できる体制を築いてきたという。

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<関連リンク>:

米CAS(トップページ)
http://www.cas.org/

米CAS(1億件おもしろ情報のページ)
http://www.cas.org/content/chemical-substances/cas-registry-100-millionth-fun-facts

化学情報協会(CAS REGISTRY 製 品情報ページ)
http://www.cas-japan.jp/content/chemical-substances.html


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