米Nok Nok Labsが日本事務所を開設
パスワード不要の新しい認証技術提供、FIDO標準に対応
2015.08.28−米Nok Nok Labs(ノック・ノック・ラブス、本社・カリフォルニア州、フィリップ・ダンケルバーガー社長兼CEO)は27日、日本事務所を設立し、国内での事業活動を本格化させると発表した。生体認証などを利用したパスワード不要のオンライン認証技術の標準化団体「FIDOアライアンス」の技術に基づくソリューションを提供しており、すでにNTTドコモとスマートフォン向けの個人認証で契約を結んでいる。今後、FIDO標準の普及とともに事業を拡大し、2〜3年後には国内で20〜30社が採用することを期待しているという。
同社は、2013年2月に公式にスタートしたFIDOアライアンスの6社の創設メンバーのうちの1社。現在この団体には、PCやモバイル機器のメーカー、インターネット関連企業、半導体メーカー、金融機関や決済サービス事業者、OSメーカー、セキュリティベンダー、ヘルスケアサービス事業者など200社以上が加盟しており、すでに62社から対応製品が提供されているという。
FIDO標準のポイントは、デバイスとサーバー間の通信に利用者のIDやパスワードを使用しないこと。あらかじめデバイスとサーバー間でレジストレーションを行い、公開鍵と秘密鍵のペアを生成しておく。ユーザーがサービスを利用する際は、指紋などでユーザー認証に成功するとそのサービス用の秘密鍵が取り出され、それによってサーバーに対する認証が行われることになる。通信自体は標準化されたプロトコルで行われ独立しているため、デバイス側の認証技術が何であっても、新しいものに変わっても、サーバー側とのやり取りには影響しないという特徴がある。パスワード方式に比べて、セキュリティ面にも優れている。
ユーザーに対する利便性の観点では、パスワードを使い分けたり管理したりする手間がなくなるため、サービスの利用頻度が増えたり、トランザクションを最後まで完了させる率が向上したりする効果が認められ、結果的にビジネスに良い影響が出てくるということだ。
具体的な製品としては、FIDO標準を実際の製品やサービスに組み込むための「NNL S3 Authentication Suite」を提供していく。これには、デバイス側で生体認証とアプリをつなぐソフトウエア開発キット、サーバー側で働く認証サーバーなどの技術が含まれている。販売はチャネルパートナーなどを通して行われる予定。日本事務所の所在地などはまだ決まっていないが、国内の代表者として宮園充ビジネス開発ディレクターがすでに就任している。
国内での実績としては、NTTドコモと契約し、同社のスマートフォンユーザーにシンプルな認証の仕組みを提供している。今後は顧客やパートナーとのネット上でのコラボレーションをより強固にしたい企業のニーズを掘り起こすほか、企業内の従業員向けの認証システムへの採用も狙っていきたいという。
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