2015年冬CCS特集:富士通九州システムズ
規制対応で国産の強み、PMDAでパイロット試験
2015.12.03−富士通九州システムズ(FJQS)は、新薬の開発や申請などに関連した当局の動きに対応し、国産ソフトならではの強みを生かしたきめ細かなサポートを実施している。
同社は、富士通や菱化システムが扱う内外のCCS製品の販売、受託によるシステムインテグレーションなども手がけているが、海外子会社のFQSポーランドを中心とした独自製品の開発体制も備えている。
とくに、薬物相互作用を定量的に予測する「DDIシミュレーター」は、昨年7月に厚生労働省が「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(最終案)を出したことで注目度が高い。生理学的薬物速度論(PBPK)モデルに基づいて、複数の薬物の併用時における薬効や副作用発現の変化を予測することができる。昨年夏から開始された医薬品医療機器総合機構(PMDA)のPBPKモデル解析パイロット試験において、米国製ソフトと並んでDDIシミュレーターが承認申請データの解析に利用できることを確認する作業が進められている。国内の製薬企業もこうしたシミュレーションソフトの導入に向けた検討を開始しており、需要増への期待が大きくなってきている。
DDIシミュレーター自体は、発売から5年を経て着々と機能強化が実施されており、現在の最新版はバージョン2.4。今後もユーザーの要望に基づいて機能強化を図る計画で、PKパラメーターを算出するためのフィッティング機能の追加実装などを進めている。さらに、非線形薬物動態への対応、誘導モデル・トランスポーターモデルの改良などを行うことにしている。
一方、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)のM7「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理」ガイドラインが来年1月から施行されるが、これに対応した唯一の国産ソフトが同社の「ADMEWORKS」。好調に販売実績を重ねている。現状でガイドラインが定める機能・要件を満たしているが、国立医薬品食品衛生研究所が実施中の「グローバルQSARプロジェクト」に参加して、予測モデルの改良にも継続的に取り組んでいる。今後は、予測結果の信頼性をユーザーが確認しやすいように、表示面での改良を計画している。
また、ヒトの薬物動態関連タンパク質・薬物の情報を検索できるオンラインサービス「ADMEデータベース」もコンテンツがさらに充実した。ユーザーからの要望を取り入れ、第一選択薬(ファーストライン)に重点を置いてデータ収集を進めているほか、データのもとになる文献の年代や雑誌名などを明記して信頼性の指標とするなどの改善を図った。また、今年のユーザー会では、薬剤師が業務に活用することをテーマにした講演を準備するなど、応用範囲の広がりも期待される。