2015年冬CCS特集:化学情報協会

CCDC製品群を拡販、創薬研究向けなど機能追加

 2015.12.03−化学情報協会は、英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)が整備・構築しているデータベースを核にした研究支援ソリューションの販売戦略を強化する。来年度から製品体系が一新されることに対応したもので、生命科学分野と材料科学分野にそれぞれフォーカスしたスイートが用意され、機能も大幅に拡充される。API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を使用することもできるので、データベース(DB)や解析ソフトを社内システムに統合することも容易になるという。

 CCDCは、有機化合物や有機金属化合物の結晶構造データを網羅的に集めた「CSD」(ケンブリッジ結晶構造データベース)を管理している機関で、今年に設立50周年を迎えた。蓄積された情報は80万件に達し、その情報の精度や有用性は高く評価されている。

 来年度からの製品体系は、結晶DBを中心とした「CSD-System」に加え、生命科学向けの解析ソフトなどを追加した「CSD-Discovery」、同様に材料科学向けの「CSD-Materials」、すべてを合わせたフルセットの「CSD-Enterprise」の4つのパッケージスイートに分かれる。化学情報協会は民間企業向けにこれらを提供するが、アカデミック用途は「CSD-Enterprise」に一本化され、大阪大学蛋白質研究所が窓口を務めることになっている。

 とくに、戦略的に伸ばそうとしているのが製薬会社などを対象にした「CSD-Discovery」。これには、DBのCSD、ドッキング解析ソフトGOLD、タンパク質複合体からリガンド分子を検索するRelibase+に加え、知識ベースに基づいて分子配座を発生させるコンフォーマージェネレーター、リガンド分子構造を重ね合わせるリガンドオーバーレイといった新しいソフトを使用することができる。いずれも結晶構造のファクトデータをもとにして解析するため、精度が高いことが特徴になる。国内での提供時期は来年4月から。

 一方、「CSD-Materials」には、粉末結晶構造解析ソフトDASH、結晶多形のリスクアセスメント、パッキングの理解、水和物解析、共結晶スクリーニングのためのツールが含まれる。

 そのほかにも、「CSD-Community」の名称で無償のツールも用意されており、これらは誰でも利用することが可能。CCDCが集めた結晶データをCIFファイルで個々に入手できるほか、独自の結晶構造表示ソフト「Mercury」も無料で利用できる。


ニュースファイルのトップに戻る