CTCライフサイエンスがICH M7関連ビジネスを強化

15日以降の申請から適用開始、英Lhasa製品群で広範囲をカバー

 2016.01.15−CTCライフサイエンス(CTCLS)は、医薬品規制調和国際会議(ICH)での合意に基づき、厚生労働省によって新たに「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理ガイドライン」が定められたことを受け、対応するソリューションの提案・販売に力を入れる。きょう15日以降に申請される新医薬品の製造販売承認申請、および同日以降に届け出られる治験の計画の届出に当たり、このガイドラインにはっきりと従うことが求められるもの。同社が販売権を持つ英Lhasa社のソリューションはこのガイドラインを幅広く支援する機能を実装しており、同社では十分なテクニカルサポートを提供できる特別体制を組んで営業活動に当たる方針だ。

 今回のガイドラインは、「ICH M7」として論議されてきたもので、2010年10月にICHにおいて作業が開始され、2012年11月にステップ2 文書が完成。国内では厚生労働省が2013年11月からパブリックコメントへの対応を行い、2014年6月にステップ4 としてガイドライン案を公表した。そして、2015年11月に最終のステップ5 に達し、今年1月15日以降の申請から適用されることが定められた。

 CCSの観点で重要なのは、コンピューターの予測による毒性評価法を明記していること。今回のガイドラインでは、管理すべき変異原性不純物を5つのクラスに分類(下表参照)しており、既知の事実から変異原性発がん物質であることが明らかな場合、あるいは明らかにそうではない場合を除き、十分なデータが存在しないときは、そのデータをとるための試験をせずにコンピューターによる予測法を用いることができる。

 知識ベースと統計ベースの2種類のQSAR(構造活性相関)ソフトを用いて、評価がともに陰性と判定されればクラス5(変異原性なし)、ともに陽性と出ればクラス2(変異原性あり)などとして扱うことができる。もし、2種類のQSARによる予測が食い違うと、各ソフトの予測の裏付け情報やすべての解析結果を含めて、専門家によるあらためてのレビューが必要になる。

 Lhasaのソリューションでは、データベースや文献検索で既知の情報を調査する初期分析を支援する毒性試験情報データベース「Vitic Nexus」のほか、QSARソフトとして知識ベースの「Derek Nexus」、統計ベースの「Sarah Nexus」を同一のプラットホーム上で利用することができる。現在、2種類のQSARソフトを1社で提供できるベンダーは同社だけとなっている。

 さらに、今回のガイドラインの中には、一般原則として当該不純物が原薬の代謝物である場合に、代謝物の変異原性に関するリスク評価によって、その不純物の安全性を確認できるという記述もあり、それについてはLhasa社の代謝予測ソフト「Meteor Nexus」を活用することができるという。

 また、当該不純物が原薬の分解生成物である場合、分解に関する各種の知見を評価対象となる不純物(分解生成物)を指定する際の指標にすることができるとも記されている。これには、Lhasa社の分解生成物・分解反応予測ソフト「Zeneth」が役立ちそうだ。

 一方、ガイドラインでは、変異原性化合物の実際の管理戦略として、毒性評価試験に基づく毒性学的な許容限度値(TTC)を設定し、それ以下を判定基準とするなどの考え方のほか、いくつかの方法(オプション)が提示されている。その中に、医薬品製造工程のパラメーターと、それが残留する不純物のレベルに与える影響が十分に理解されている場合、不純物が最終原薬中に許容限度値を超えて残留するリスクが無視できるほどに小さいといえるケースにおいて、試験を行わずに工程管理による管理戦略を選択できるとされている。このリスク評価は、プロセス中の化学反応性、溶解性、揮発性、イオン化性などの要素や、不純物を除去するための物理的工程などを含めて評価されるもの。その結果を“推定パージファクター”として示すことができる。

 現在、Lhasa社はこのパージファクターを予測するツール「Mirabilis」をコンソーシアム形式で開発中。この分野で初の商用ソフトとなるもので、一般ユーザー向けには2017年から順次リリースされる予定となっている。

 CTCLSでは、こうした広範囲なLhasa製品を国内のM7関連市場に向けて積極的に紹介していく方針。特別な体制を組んで、万全の構えでユーザーサポートに務める考えだ。

潜在的な変異原性およびがん原性に関する不純物の分類と管理措置


クラス 定義 提案される管理措置
クラス1 既知の変異原性がん物質 化合物特異的な許容限度以下で管理する
クラス2 発がん性が不明の既知の変異原性物質(最近を用いる変異原性試験で陽性であり、げっ歯類の発がん性データがない物質) 許容限度値(適切なTTC)以下で管理する
クラス3 警告構造を有し、原薬の構造とは関連しない警告構造であり、変異原性試験のデータが存在しない 許容限度値(適切なTTC)以下で管理する、または細菌を用いる変異原性試験を実施する。変異原性がない場合はクラス5、変異原性がある場合はクラス2
クラス4 警告構造を有するが、試験によって変異原性がないことが示されている原薬または原薬に関連する化合物(工程中間体など)と同じ警告構造である 非変異原性不純物として扱う
クラス5 警告構造を有しないか、警告構造を有するが変異原性もしくは発がん性のないことを示す十分なデータが存在する 非変異原性不純物として扱う

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<関連リンク>:

CTCライフサイエンス(トップページ)
http://www.ctcls.co.jp/

CTCライフサイエンス(Lhasa製品紹介ページ)
http://www.ctcls.co.jp/products/list/lhasa.html


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