2016年夏CCS特集:伊藤忠テクノソリューションズ
独自の材料設計ソフト、金属・無機系にターゲット
2016.06.23−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、ミクロからマクロ領域までのマルチスケール材料設計シミュレーションを具体化すべく、独自パッケージ「Nanoveats」を開発、販売を行っている。
開発したのは科学・工学系の設計解析ソリューションを長年手がけている事業部で、とくに自動車向けなどの機械系CAEソリューションの一貫として製品化を図っている。
具体的には、合金・化合物の熱力学平衡計算および状態図計算を行う「Thermo-Calc」(スウェーデンのサーモカルク社)、2次元および3次元の多相合金の凝固・固相変態をシミュレーションする「MICRESS」(独アクセス社といった材料設計用ソフトを取り扱っており、その解析対象をミクロ・ナノスケールにおける物性評価に広げることが目的となっている。これらとの連携を図り、金属・無機材料系をターゲットにすることで、Nanoveatsの特徴を出していく考えだ。
さて、Nanoveatsの現在のバージョンは1.1。計算エンジンは外部のアカデミックコードを利用し、結晶構造のモデリングや物性計算に特化した機能をつくり込んでいる。第一原理計算エンジンはVASPとQUANTUM ESPRESSO、分子動力学エンジンとしてLAMMPSに対応。連携としては、Thermo-Calcで求めた状態図から結晶構造モデルに変換して計算する機能を持っている。
モデリング機能では、金属結晶中の元素の置換、空孔の作成がしやすいことが特徴で、物性計算は第一原理で体積弾性率や弾性定数を算出することが可能。
今年の秋に向けてバージョン2.0を開発中で、GUIも大きく変わる予定。プロジェクト単位で計算の実行を管理するなど、使い勝手も向上するという。