2016年夏CCS特集:富士通九州システムズ

自社開発の強みを発揮、化学物質リスク評価に応用

 2016.06.23−富士通九州システムズ(FJQS)は、海外子会社のFQSポーランドによる独自の製品開発体制を備えるとともに、富士通や菱化システムが取り扱うCCS製品群の販売も推進。社内で開発ができる強みを生かして、市場のきめ細かなニーズに応えている。

 自社製品のうちで新たな展開を図りつつあるのが「DDIシミュレーター」。薬物併用時の副作用の原因となる薬物間相互作用をPBPK(生理学的薬物速度論)モデルに基づいてシミュレーションする製薬業向けのソフトだが、広く化学物質のリスク評価に応用できる可能性が注目されている。

 今年2月には、日本化学工業協会(日化協)が開催するケミカルリスクフォーラムで、その活用方法を紹介した。とくに、反復投与毒性試験は、標的臓器・組織が複数で、作用機序もさまざまであるため、動物実験代替法の開発が進んでいない。構造活性相関(QSAR)などの化学構造をベースにした毒性予測では、生物学的な反応性や有害作用に関連した特徴が十分に抽出されない可能性もある。そこで、PBPKモデルによる体内動態を踏まえて化学物質のリスク評価を行おうというもの。

 また、別の応用領域として、薬物の血中濃度が最適になるように測定しながら用法・用量を個別に調整するTDM(治療薬物モニタリング)でも関心が高まっている。今年5月の日本TDM学会に展示し、病院薬剤部などからの手応えを得たという。

 一方、化合物の薬効、薬物動態、毒性、物性などを予測する自社製品「ADMEWORKS」も着実に普及が進んできている。とくに、ICH M7に関連した変異原性予測モデルが組み込まれていることが特徴。国立医薬品食品衛生研究所が実施している「グローバルQSARプロジェクト」に参加して、モデル改良にも取り組んでいる。

 ヒトの薬物動態関連タンパク質・薬物の情報をオンラインで検索できる「ADMEデータベース」サービスも、1年に4回ずつのアップデートを実施し、現在の登録データ数は約11万8,000件に達している。


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