2016年夏CCS特集:分子機能研究所
ONIOM対応を強化、タンパクの全系計算に対応
2016.06.23−分子機能研究所は、加ハイパーキューブの分子モデリングシステム「HyperChem」を利用して、独自のSBDD(ストラクチャーベースドラッグデザイン)創薬支援パッケージを開発。ターゲットタンパク質の立体構造をホモロジーモデリングし、活性ポケットに適合する化合物をドッキングシミュレーションで絞り込んだあと、複合体構造を全系量子化学計算で解析する−といった最近注目のストラクチャーベース創薬手法を効率良く適用できることが最大の特徴となっている。
同社の製品は「ホモロジーモデリング・フォア・ハイパーケム」と「ドッキングスタディー・ウィズ・ハイパーケム」の2つで、最新のリビジョンG1を今年3月にリリースした。最大の特徴は量子化学計算ソフト「Gaussian09」向けのONIOM法に対応したインターフェースを強化したこと。ONIOM法は、QM/MM(量子力学/分子力学)計算が可能なために注目度が高い。ただ、計算の設定が難しく、テキストで入力ファイルを作成するのにたいへんな手間がかかっていたという。
同社が開発した最新のONIOMインターフェースを使うと、QMで計算するハイレイヤー(低分子側)、MMで計算するローレイヤー(タンパク質側、ミドルレイヤーの設定も可能)の指定が簡単に行えるため、核酸とタンパク質の複合体のような複数のリガンドを含む大きな系も、容易に計算することが可能。
とくに、古典力学でドッキング解析したあとの構造は歪みが生じていて、そのままフラグメント分子軌道法(FMO)などで全系計算をしようとしても収束しないことが多かった。このため、同社ではドッキング後にONIOM法で構造最適化計算を実施することを推奨している。今回の新機能はそうした用途で真価を発揮するということだ。