材料インフォプロジェクト「MI2I」がコンソーシアムをキックオフ

自動車・電子材料など32社参加、研究ツール「DPF」を試用

 2016.08.06−物質・材料研究機構(NIMS)が推進する情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(MI2I)は6月28日、都内でコンソーシアムのキックオフイベントを開催した。4月からコンソーシアム会員を募集していたもので、32社の法人会員を集めてスタートを切った。会員数は今後も増えるもよう。データ駆動型(情報統合型)の材料インフォマティクスを活用した新しい研究手法の確立を目指す同プロジェクトへの期待は大きく、幅広い企業が関心を寄せている。今後の成果が注目される。

 MI2Iは、科学技術振興機構(JST)の「イノベーションハブ構築支援事業」のもと、物質・材料研究機構(NIMS)が中核となって昨年7月にスタート。蓄電池材料、磁石・スピントロニクス材料、電熱制御・熱電材料の3つを出口課題として研究が行われており、研究開発のためのツールであるデータプラットフォーム(DPF)の整備も進んできている。

 コンソーシアムメンバーは、材料インフォマティクスに関する理論の学習会、チュートリアル、ソフトウエア説明会などの機会を活用し、他のメンバーや開発チームとの交流を通して実践的な技術を習得。実際にDPFを試用して、自分の研究テーマに適用しつつ、ツールを良くしていくためのフィードバックなどを行う。

 コンソーシアムを運営するに当たっては、メンバー間で具体的な研究課題における利害関係がぶつからないように、材料インフォマティクスの知識・技術を相互に学ぶ機会とし、共通技術を取り上げて、各社それぞれの戦略課題は自社で実施できるように気をつけたいということだ。なお、DPFはクローズドシステムとなっているため、試用する際は集中研究拠点であるNIMS千現地区(つくば市)を訪問しなければならない。

 キックオフ時点のコンソーシアム法人会員は、エヌ・ティー・エス、東芝機械、NEC、伊藤忠テクノソリューションズ、デンソー、出光興産、シミュラティオ、AGC旭硝子、住友金属鉱山、日本特殊陶業、トヨタ自動車、富士通研究所、リンテック、リガク、クラレ、JSR、住友化学、富士フイルムホールディングス、富士フイルム、ダッソー・システムズ・バイオビア、MCHC R&Dシナジーセンター、村田製作所、日東電工、サムスン日本研究所、ペンギンシステム、JX金属、東芝研究開発センター、豊田自動織機、新日鉄住金、古河電気工業、アルゴグラフィックス、コベルコ科研−の32社(申し込み順)。全体として自動車材料と電子材料関連の企業が多いようだ。当日は、欠席した数社を除いて、各社がコンソーシアムで取り組みたい課題などをショートプレゼンテーションした。

 このほか、アカデミア会員として、金沢工業大学工学部情報工学科、東京理科大学理工学部工業化学科、産業技術総合研究所触媒化学融合研究センター、北海道大学触媒科学研究所、九州工業大学大学院情報工学研究院が加わっている。





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<関連リンク>:

物質・材料研究機構(情報統合型物質・材料研究拠点のホームページ)
http://www.nims.go.jp/research/MII-I/index.html

情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(トップページ)
http://www.nims.go.jp/MII-I/


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