CCS特集2016冬:菱化システム

4月に新会社へ事業移管、CCG社と連携さらに強化

 2016.12.06−菱化システムは、三菱ケミカルホールディングスグループのシステムインテグレーターとして、長年にわたりCCS事業を推進。生命科学と材料科学の両分野を網羅する研究支援ソリューションを提供してきたが、新たに設立された新会社「モルシス」に同事業を移管する方針を固めた。現在、海外ベンダーを中心に18社以上の製品を扱っているが、来年4月からその販売と技術サポートがほぼそっくり移管され、現在の体制のまま引き続き担当していくことになる。このため、ユーザーへの対応は実質的に変わることはないという。

 新会社のモルシスは、菱化システムの科学技術システム事業部が扱うソフトウエア事業・体制をほぼ引き継いでスタートするが、資本関係はなく、筆頭株主は最大のパートナーである加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)となる。来年3月末までは菱化システムがこのまま事業を継続し、その間のライセンス契約はすべて新会社に継承される。

 製品としては、CCG社の統合計算化学システム「MOE」が主力で、最新版ではタンパクの表面特性の解析機能が強化され、タンパク同士が会合する際に重要な部分を視覚的に認識することができるようになった。また、新しいタンパク−タンパクドッキング機能も注目度が高いという。

 生命科学系では、このほかにもプロウスインスティチュート(スペイン)が開発した創薬研究・医薬品開発支援システム「SYMMETRY」が好調で、着実にユーザーが増えている。さらに、プロウスとは別会社のバイオインフォゲート社が今年8月に設立され、医薬品の毒性・安全性情報提供サービス「OFF-X」を開始している。とくに、医薬品のターゲット(分子作用機序)と有害事象を関連づけてまとめたことが特徴で、有害事象の原因となる潜在的なターゲットの迅速な特定、アッセイ実験の計画・立案の洞察とガイダンスの取得など、時間とコストの低減が可能になる。

 一方、材料科学分野も自動車関連や電子材料関連で、米マテリアルズデザインの「MedeA」などを中心に引き合いが活発。実験と比較して討議できる計算結果が得られており、とりわけ材料インフォマティクスへの注目と相まって、ハイスループット計算へのニーズが拡大しているということだ。


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