CCS特集2016冬:ウェイブファンクション

使いやすい最新版が発売、和歌山県内事業者に開放も

 2016.12.06−ウェイブファンクションは、初心者からエキスパートまでの幅広いニーズを満足させる分子モデリングソフトをバージョンアップし、今年の夏から最新版「Spartan '16」として提供を開始した。新しい汎関数が多数導入されており、より正確で高速なシミュレーションが可能。大学や高専での教育用途から、企業における本格的な研究用途まで利用実績は豊富で、最近ではとくに新しく計算化学に取り組もうという企業が、その入り口としてSpartanを選択するケースが多い。

 一例をあげると、今年の秋から実施されている和歌山県工業技術センターの「ケミカルスマートものづくり 計算化学スクール」の使用ソフトウエアとしてSpartan '16が採用された。これは、同工業技術センターの100周年記念事業の一環で行われたもので、和歌山県内の事業所から受講者を募集した。合計10回の講座が開かれ、前半5回分の「化合物物性、反応予測シミュレーション講座」で、Spartan '16を実際に使用して量子化学計算を用いた演習が行われた。(後半5回分は材料物性予測シミュレーション講座を実施)

 これにともない、同工業技術センターはSpartan '16を数セット導入、貸付け機器として利用者に開放する予定だという。スクールでは、化成品原料などを製造する際の反応解析に重点を置いたが、熱心な参加者が多く、今後Spartanの購入にもつながると期待される。

 また、開発者であるウォーレン・ヒーリー社長(カリフォルニア大学名誉教授)が3年ぶりに来日し、6日にセミナーを開いている。新機能の詳細を技術的に解説するほか、今後の開発の方向性などを話して、多くのユーザーの注目を集めたようだ。

 今回の新バージョンは、これまでと同様にスタンダード版と、並列処理対応のパラレルスイート版の2種類があり、保守契約に入っているユーザーのバージョンアップは無償。新規ライセンス価格は前バージョンと同額だが、教育機関向けに追加購入キャンペーンを展開しており、スタンダード版は20万4,000円のところを15万円で、パラレルスイート版は27万6,000円のところを22万円で、もう1本購入できる。


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