日立ソリューションズが人事システムにAI組み込み

ストレスケア/パフォーマンス向上に活用、休職者53%を予測

 2016.12.10−日立ソリューションズは1日、人工知能(AI)を応用し、人や組織のパフォーマンスの最大化を図る機能を人事総合ソリューション「リシテア」に導入したと発表した。「リシテア/AI分析」の名称で順次機能を増やしていく予定で、第1弾としてストレスケアの必要な従業員を予測する「組織ストレス予測サービス」を来年2月から、業績やモチベーションなどパフォーマンスの高い組織の特性を抽出して可視化する「組織パフォーマンス診断サービス」を来年5月から販売開始する。“働き方改革”を後押しするライフスタイルイノベーション事業を含めて、2020年度までにリシテア関連事業のビジネスを倍増させ、100億円の販売を見込むとしている。

 リシテアは、1994年に就業管理パッケージとしてスタートし、現在では人事・労務関係の統合スイート製品に成長。累計約1,100社、約161万ユーザーが利用している。今回、AI機能を本格的に組み込むのを契機に、ソリューションのコンセプトを「働く一人ひとりの『躍動』を企業の成長へ」とあらためた。

 今回の「リシテア/AI分析」は、リシテア内に蓄積された人事・労務管理関連データ(勤務管理、給与、人事評価、健康管理など)や外部からのデータ(センサーで取得した移動軌跡データ、従業員間のコミュニケーション履歴データなど)を収集し、それらのデータを機械学習させてAIで分析、その分析結果を用いて可視化や診断、問題発生の予測などを行うことで、個人と組織のパフォーマンスの最大化を図り、業績向上や持続的成長に結びつけていく。

 AIの学習や予測モデル作成については、日立グループのAIに関するノウハウを利用するほか、同社がリシテア事業で培った人事・労務の知見をフル活用し、改善点を可視化するシステムの提供や、定期的なレポート発行などを行う。また、データの分析・加工に当たっては、プライバシーに配慮し、セキュアな環境で実施できるようになっている。

 そこで、第1弾の「リシテア/AI分析 組織ストレス予測サービス」は、勤怠管理情報、人事情報(勤務地、所属など)、従業員アンケートなどをAIで分析、過去の従業員の働き方からストレスケアが必要な従業員を予測し、組織単位でチームのストレス状況を可視化するもの。産業医がこの予測結果をもとに、人事や該当部署のマネジャーに対してケアを促すことで、メンタル不調の防止に貢献する。実際に、同社および協力企業から1万人分のデータを集めて実証実験を実施したところ、AIで休職者の53%を予測することに成功したという。

 また、「リシテア/AI分析 組織パフォーマンス診断サービス」は、業績情報、従業員の勤怠管理情報、人事施策の利用状況、従業員サーベイ情報、コミュニケーション履歴などをAIで分析し、業績やモチベーションの高さと相関性の高い指標を抽出・特定。それをもとに、組織・部門間の差違をパフォーマンス要因で可視化したり、ランキングしたりすることで、問題のある組織やその改善点を浮き彫りにすることが可能。同社の実証実験では、女子社員の比率が高く、懇親会の開催回数が多い部署ほどパフォーマンスが高いという結果が出たという。ただ、こちらは、AIの学習やチューニングがもう少し必要だとして、発売時期を来年5月に設定したということだ。

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<関連リンク>:

日立ソリューションズ(トップページ)
http://www.hitachi-solutions.co.jp/

日立ソリューションズ(リシテア商品情報ページ)
http://lysithea.jp/


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