英CCDCと独FIZカールスルーエが共同開発プロジェクト
結晶構造DBの共用ポータル公開へ、データ登録・検索窓口を統一
2017.04.19−英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)と独FIZカールスルーエはこのほど、それぞれの結晶構造データベースを利用するための共用ポータル開発プロジェクトをスタートさせたと発表した。CCDCは有機化合物および有機金属化合物、FIZは無機化合物の結晶学データを収集しており、研究者はそれぞれのサイトを使い分けてデータを登録したり検索したりする必要があった。共用ポータルは年内に公開される予定で、単一の窓口から幅広い結晶学データが利用できるようになるため、関連する研究者にとって利便性が大幅に向上すると期待されている。
CCDCのケンブリッジ結晶構造データベース「CSD」は、有機化合物・有機金属化合物の結晶学データに関する世界的なリポジトリーで、87万5,000件以上の構造データを収録。一方、FIZカールスルーエの無機結晶構造データベース「ICSD」も18万5,000件以上の構造データを保有している。それぞれ、互いの専門領域を尊重しているため、データの重複は少ない。ただ、最近は電池やガス貯蔵システム、ゼオライト、触媒、磁石、燃料添加剤など、両分野にまたがる研究が活発化しており、それらの研究者にとっては両機関のデータベースを使い分けなければならないことが不効率になってきていたという。
両機関とも、世界中の研究グループから新しい結晶学データの登録を受け付けており、それらのデータにアクセスするための簡易的な検索ページも提供している。今回の共同プロジェクトは、これらを統合した単一の共用ポータルを立ち上げようというもの。どちらに登録するか、あるいはどちらで検索するか迷うような場合でも、そうしたことを気にせず簡便に利用できるというメリットがある。共用ポータルそのものは、CCDC側で管理・運用されるもよう。
また、検索ページも統一されるが、これは複雑な条件での検索には対応していないため、豊富なデータ量を生かした高度な検索やデータ解析のためには、製品版の「CSD」「ICSD」を使用する必要がある。国内では、化学情報協会がこれらの代理店となっている。
なお、共同プロジェクトが実施されるものの、これまで行ってきた専門家によるキュレーションを含むデータ公開の手順はそのまま維持されるので、データの品質と解析能力の高い水準は保たれ、信頼性が損なわれることはないということだ。
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<関連リンク>:
英ケンブリッジ結晶学データセンター(トップページ)
http://www.ccdc.cam.ac.uk/
独FIZカールスルーエ(トップページ)
http://www.fiz-karlsruhe.de/
化学情報協会(トップページ)
http://www.jaici.or.jp/