CCS特集2017年夏:伊藤忠テクノソリューションズ
社内外の情報一元管理、パージファクターの予測も
2017.06.21−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、今年4月に子会社のCTCライフサイエンスを統合、ライフサイエンス事業部を新設し、製薬業向け研究開発支援ソリューションを中心としたヘルステック領域のビジネスを、新体制であらためて強化する方針を打ち出した。
近年とくに好調なのが、コンテンツマネジメントプラットホームとしての「Box」(米Box社)。企業向けのオンラインストレージサービスだが、容量無制限、高度なセキュリティ、使いやすいインターフェース、柔軟なシステム間連携など、一般のサービスとは一線を画した機能を提供。あらゆるドキュメントやファイルを管理でき、第一三共や塩野義製薬、小野薬品工業など国内の製薬関連企業だけで21社の導入実績を築いている。GxPシステムや電子実験ノートなどを含めて社内外の情報の一元管理を志向するなど、大きな案件に発展するケースも多い。
また、CTC全体として、クラウドに対応したサービスやシステム構築の経験も豊富で、さまざまなユーザーニーズに最良の対応をすることができるという。
一方、医薬品中の変異原性不純物を管理する“ICH M7”に対応した英Lhasaの製品群への注目度も高い。M7は昨年の申請からすでに適用されており、ユーザーはその対応を迫られているためだ。変異原性が陽性か陰性かを判定するために、毒性データベース「Vitic Nexus」に加え、予測ソフトとしては知識ベースの「Derek Nexus」と統計ベースの「Sarah Nexus」の両方を揃えているのは同社だけ。さらに、不純物が最終原薬中に許容限度値を超えて残留するリスクが無視できるかどうかを評価する“パージファクター”予測のための「Mirabilis」も提供を開始した。
Mirabilisはコンソーシアム形式で開発され、参加した欧米のユーザーはすでに利用を開始しているが、今年1月に商用版が正式に製品化されたもの。パージファクターが予測できればムダな試験を行わずにすむことから、国内製薬業の関心は非常に高い。
CTCでは、今回の体制強化を機に新しい商材へのアプローチもこれまで以上に積極化させる計画で、今年はベルギーのMDCパートナーズ社から導入した臨床試験計画を立案支援するソリューション「ta-Scan」にも力を入れる。臨床試験のビジネスインテリジェンス(BI)ツールとして豊富な機能を備えているが、医療ビッグデータの情報ソースとしても注目されるほか、ドラッグリポジショニングなどへの応用でも注目されているという。