CCS特集2017年夏:パーキンエルマー

データ解析戦略を強化、クラウド型ノートで新製品

 2017.06.21−パーキンエルマーのインフォマティクス事業部は、医薬・バイオ、化学関連企業向けに研究開発支援のエンタープライズソリューション、デスクトップソフト、データベース、コンサルティングサービスなどを提供。とくに、データアナリティクスと電子実験ノートブックで戦略的な事業展開を進めている。

 同社は、旧ケンブリッジソフトなどの体制を引き継いでおり、分子構造作画ソフト「ChemDraw」で圧倒的な知名度を誇る。化学者と生物学者に必携のツールで、構造式の作図だけでなく、NMRスペクトル予測、アミノ酸およびDNA配列ツール、化学名と構造との相互変換など、多機能・高機能性で一線を画している。今年3月から6月まで「ChemDrawイノベーションチャレンジ」と題するキャンペーンを展開し、実際のユーザーから未来に組み入れるべき要望を吸い上げた。300件以上の興味深いアイデアが集まったという。

 一方、エンタープライズ向けでは、米Attivioのミドルウエアを戦略商品に位置づけている。これは、構造化データと、テキストなどの非構造化データを統合して扱い、データモデル生成とデータマートの構築を支援する機能を持っている。英サイバイトの医薬・バイオ系オントロジー辞書と連携し、電子ノートに蓄積したデータをはじめ、インターネット上の情報、いわゆるリアルワールドデータなども含めて、データ分析の基盤とすることができる。とくに、米ティブコの「Spotfire」を利用することで、データの価値を最大限に引き出すことが可能。創薬研究の目的だけでなく、医療や製造など幅広い領域への展開も狙う。

 さらに電子ノートでは、クラウド対応製品の販売を本格化させる。「Elements」と呼ばれていた製品を刷新し、「Signals Notebook」として4月から提供を開始した。ChemOfficeのサイトラインセンスと同時に使用(実質的に無償)することができ、Elementsで蓄積したデータベースを読み込むことができるほか、マイクロソフトオフィスとの統合や日本語への対応など、機能が大幅に強化された。また、動作の軽快さなどでも評価が高い。同社は、国内の大学向けサイトライセンスで50以上の実績があるため、一気に普及が進むとみている。

 ウェブベースのクラウドサービスなので、タブレットなどさまざまなデバイスで使用できることも特徴。企業向けのライセンスは別に用意されており、マルチテナント方式で安全性も高く、管理者向けの機能も提供される。


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