CTCがICH M7対応ソリューションで新製品

パージファクター予測機能を提供、不純物管理戦略に新展開

 2017.06.21−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、医薬品に含まれる変異原性不純物の管理方法を定めた“ICH M7”への対応ソリューションを拡充、新たに欧米の製薬会社16社を集めたコンソーシアムで開発されたパージファクター予測ツール「Mirabilis」を国内で販売開始した。英Lhasa社の製品で、M7対応技術を統合的なスイートとして提供している。医薬品の品質や安全性上のリスクを考慮する上で重要なツールとなるため、国内製薬業の関心も高い。

 M7は、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)が、「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理ガイドライン」としてまとめたもので、昨年から日本でも適用が開始されている。医薬品原薬(API)の合成途上で副生成物や分解物などとして混入してくる変異原性不純物の存在を、各工程で化学的に確認することが求められている。ただ、すべての実験を実施することは時間とコストが膨大となり、現実的には対応が困難。そこで、M7ではコンピューターの予測(インシリコ)による評価方法を認可している。

 英Lhasaはこのためのスイートを開発。検出された不純物が変異原性化合物かどうかを調べるため、既知の情報から調査する毒性試験情報データベース「Vitic Nexus」、未知化合物の毒性を予測するソフトとして知識ベースの「Derek Nexus」と統計ベースの「Sarah Nexus」を提供している。

 今回の新製品「Mirabilis」は、さらに異なる角度からの不純物管理戦略を提示することができるのが特徴。変異原性不純物であっても、API合成過程で反応や精製(溶出・乾固など)を経ることにより、その濃度が段階的に薄められることがある。M7では、不純物が最終原薬中に許容限度値を超えて残留するリスクが無視できるほどに小さいといえるケースにおいて、試験を行わずに工程管理による管理戦略を選択できるとしている。このリスク評価の指標が“パージファクター”と呼ばれる。これを算出するのが「Mirabilis」の機能だ。

 Lhasaは、アストラゼネカやファイザー、グラクソ・スミスクラインなど16社を集めて3年間のコンソーシアムを組み、このソフトの開発を進めてきた。コンソーシアムメンバーはすでにソフトを利用しているが、一般向けの製品版がバージョン2として完成し、今年1月から正式にリリースされた。

 「Mirabilis」はパージファクター算出方法を標準化しており、実験を大幅に削減できると期待されている。また、不純物管理戦略全体にも大きく関わるものとなる。現時点では、人間による判断にゆだねる部分が大きいソフトとしてデザインされており、不純物の選択と変異原性の有無、化学反応性、溶解性、揮発性、イオン化性などの要素の選択、毒性評価試験に基づく毒性学的な許容限度値(TTC)の設定−などはユーザーが決める必要がある。今後の機能強化では、ある程度の自動化も検討されるようだ。

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<関連リンク>:

伊藤忠テクノソリューションズ(ライフサイエンス事業部のトップページ)
http://ls.ctc-g.co.jp/

伊藤忠テクノソリューションズ(ICH M7対応ソリューションのページ)
http://ls.ctc-g.co.jp/products/lhasa/ich_m7.html


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