CCS特集2017年冬:コンフレックス
主力ソフト5年ぶりに強化、配座探索さらに高精度
2017.12.05−コンフレックスは、自社開発の配座空間探索ソフト「CONFLEX」を中心に、短時間で正確な分子配座解析を行うシステムを提供。米ガウシアンの分子軌道法ソフト「Gaussian/GaussView」、カリフォルニア大学で開発されている分子動力学法ソフト「AMBER」、米パーキンエルマーの「ChemDraw/ChemOffice」なども合わせて販売・サポートし、国内の計算化学ニーズに広く応えている。また、計算科学振興財団(FOCUS)と連携するなどして、これらのソフトを活用するための初級編あるいは応用編の講習会も長年実施してきており、こちらもユーザーの評価が高い。
主力の配座空間探索ソフトは、5年ぶりのメジャーバージョンアップが行われ、11月に「CONFLEX 8」がリリースされた。多くの新機能が搭載されており、例えば動的反応座標(DRC)に対応した。これは配座を探索する際に適用される新しい手法で、基準振動モードを使用して初期速度ベクトルを算出し、それに基づいて動力学計算を行う。複数分子の配置変換や大きな分子の配座変換に適用できるが、今後の機能強化(リビジョンアップ)で、具体的な使い方が提示されていくという。
また、Gaussianとの連携はこれまでも重要なテーマになっていたが、今回の最新版では同じマシンにインストールされているGaussianをCONFLEXの中から直接呼び出して、構造最適化および配座探索を行えるようになった。金属錯体など、力場パラメーターが用意されていない系でも精密な計算が可能。とくに、Gaussianを使った配座解析は、当のGaussianも持たない機能であるため、ユーザーの関心が高い。
さらに近年、結晶などの巨大な系を解析するニーズが増えていることに対応し、処理速度の高速化を達成している。結晶構造探索時のMPI並列処理と、個々の結晶構造最適化計算でのOpenMP並列処理(分子間相互作用計算)を二段構えで行うハイブリッド並列計算機能を実現した。
そのほか、最新のグラフィック技術に対応したことでグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)機能も大幅に強化され、振動モードのアニメーション表示、DRC計算結果のムービー表示をはじめ、グラフィック表示が高速になっている。結晶などの大きな系もストレスなく表示可能で、アップルの高精細Retinaディスプレイにも対応している。
一方、来年4月には最新版の「AMBER 18」がリリースされる。AMBERはWindows環境でネイティブに動作するようになってユーザーの関心が高まっており、今年11月に初めてWindowsでのAMBER講習会を実施したところ、反響が大きかったという。来年に向けては、AMBERの販売にも力を入れる。
Gaussianについては、今年リリースされた最新版「Gaussian 16」が人気だが、参考書である「電子構造論による化学の探究」の最新2015年版の日本語訳が完成している。Gaussianの新規ライセンス購入者は1冊もらえるということだ。