業界11社がAIビジネス推進コンソーシアムを設立

開発ノウハウ・事例集を公開、実際に動くソースコードも提供

 2017.12.15−AIビジネス推進コンソーシアムが13日、設立発表を行った。AI(人工知能)分野でのアプリケーションやサービス開発、実証実験などに携わる企業が結集し、関連するノウハウを相互に共有して連携を図ることが目的。人材不足が指摘されるAI開発の敷居を下げるため、基本技術やひな型となるユースケースを集めて公開し、参考になる事例をいつでもみつけられるようにしていく。メンバーは11社でのスタートだが、大学・研究機関やサービス事業者、ユーザー企業などの参加を広く募ることにしている。

 同コンソーシアムの構成企業は、運営理事が伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、グリッド、TIS、富士通、運営委員に伊藤忠商事、OSIsoft Japan、zero to one、丸紅、丸紅情報システムズ、三井情報、三井物産−の11社。

 国内のAI活用は実証実験や検証の段階にある事例がほとんどで、実際のビジネスでの利用はまだ黎明期にあるのが現状。その理由として、AI開発には数学統計の知識と高度なプログラミング技術の両方が必要であること、またAIの理論や機械学習などのアルゴリズムを、いかにビジネス課題に適応させ実際にビジネス展開するかという点で、大きなギャップが存在するといわれている。

 今回のメンバー企業各社は、すでにインダストリアルAIやコンシューマーAIの分野でいくつかの開発経験があり、そのノウハウを相互に共有し、AIアプリケーションの共有、ビジネス相互協力を行うことにより、実際のビジネスに役立つAIを推進していく考え。発起人であるグリッドの曽我部完代表取締役は「とくにインダストリアルAIは使用するデータがさまざまであり、個別性が非常に高いので、開発の際のノウハウを秘匿しても意味がないと感じている。むしろ事例として共有する方が全体の利益になる」と話す。

 コンソーシアム設立に先立って、10月から事例公開をはじめており、ノウハウをチュートリアルとして体系化し、実際に動くソースコードも無償で提供している。コンテンツは、基本技術のほか、データ前処理、時系列処理、自然言語処理、画像認識、音声認識、生成モデル、最適化、深層強化学習、トポロジカルデータアナリシスなど順次拡充させる。

 「現在は約50例ほどだが、これが数百例に増えれば、いろいろな問題に関する参考例がみつかるようになると思う。これをひな型にすることで機械学習の経験の少ないエンジニアでもAIモデル構築が可能になる。来年にはメンバー各社も事例を提供していく」と曽我部代表取締役。とくに、産業用AIは国内ベンダーならではの取り組みが生かせる分野ではないかという。

 現在の同コンソーシアムは、グリッドの技術を利用あるいは提携している企業が中心だが、今後は広くメンバーを集めていく方針。まずは、大学などの研究機関へのアプローチを図ることにしている。




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<関連リンク>:

AIビジネス推進コンソーシアム(トップページ)
http://aibpc.org/

グリッド(トップページ)
http://www.gridpredict.jp/


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