CTCが材料モデリング向けクラウドサービスを提供

米エクサバイトと提携、ナノ材料対象に第一原理計算など実行

 2018.03.17−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は16日、米エクサバイト(本社・カリフォルニア州、CEO:Timur Bazhirov)が提供している材料モデリング&シミュレーションのためのクラウドサービス「Exabyte.io」(エクサバイト・アイオー)の取扱いを開始したと発表した。材料系の解析のために必要な大量の計算リソースをクラウドでまかなうことで、本格的なシミュレーションを最大効率で行うことができる。CTCは、このサービスを導入・活用するためのコンサルティングから技術サポートまでトータルなサービスを提供する。製造業のコア研究部門や国の研究機関などを中心に、3年間で100社への販売を目指す。

 米エクサバイトは2014年に設立されたベンダーで、材料系に特化したモデリング&シミュレーション環境をクラウド上で提供している。ウェブブラウザー上で操作することができ、多くの時間や計算資源を必要とする第一原理計算や分子動力学計算を実施する際、計算の負荷に合わせてリソースの増減を柔軟に行うことが可能。使用可能な計算エンジンはオープンソースのQuantum ESPRESSOがメインだが、ユーザーが独自にプログラムを実行させることも可能。実際に使用するデータセンターは、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどを採用しており、使用量に応じた課金となるため解析にかかるシステムやソフトウエアへの投資が少なくてすむ。

 とくに、“Materials Modeling 2.0”というコンセプトを掲げており、クラウドとビッグデータ、AI(人工知能)を基盤にした新しい材料研究の枠組みを実現。以前よりもよりアクセスしやすく、データ中心的かつ相互運用的で、コラボレーションに優れたインフラになっているという。計算結果などのデータは自由にアクセス可能なかたちで蓄積されており、それを機械学習に利用することも容易。また、データを他のユーザーと共有することも可能で、オープンイノベーション型のコラボレーションを推進する際のメリットになるということだ。

 一方、CTCは合金設計、材料プロセス設計、材料評価などの材料開発関係のソフトやデータベースの販売・サポート、コンサルティングサービスを30年以上前から提供。材料を構成するミクロ組織の予測や、熱力学データベースの作成など、材料設計に関する多くの実績がある。また、近年ではナノスケールで物性解析を行う独自ソフト「Nanoveats」も開発している。こうしたノウハウを背景に「Exabyte.io」の利用をサポートしていく。

******

<関連リンク>:

伊藤忠テクノソリューションズ(科学・工学系情報サイトのトップページ)
http://www.engineering-eye.com/

米エクサバイト(トップページ)
https://exabyte.io/


ニュースファイルのトップに戻る