ダッソー・システムズが2018年度国内事業戦略

3Dエクスペリエンスの導入促進、バイオビアは7月に組織統合へ

 2018.04.18−ダッソー・システムズは13日、記者説明会を開催し、山賀裕二社長以下の各事業責任者が今年の国内事業戦略について会見した。山賀社長は、「自動車や航空機のCADの会社だというイメージがまだ強いが、設計から検証、製造までをカバーするプラットホーム化が進展。ものづくりの本質を変えるシミュレーションを含め、産業界のデジタルトランスフォーメーションの火付け役になりたいと考えている」とし、これまでのようにCADなどのポイントソリューションによる効率化・省人化を提案するのではなく、顧客のビジネスそのものを深く議論できるような営業体制に変革していくと述べた。日本法人の経営目標について数字に触れることはしなかったが、2016年度で約400億円の売り上げ規模(単独)であり、今後も毎年二ケタ成長を続けていくとした。

 同社の2017年度(12月期)グローバルの業績は、非IFRSベースで売り上げが32億4,200万ユーロ(恒常為替レートで7%増)、ソフトウエア収入は28億8,320万ユーロ(同8%増)、営業利益は32%増という結果。2018年度については、恒常為替レートで8〜9%増の収入を見込んでいるという。

 日本国内向けの戦略では、3Dエクスペリエンスプラットホームの導入促進が最大のターゲットになる。3次元CADの「CATIA V6」を中心に、単なる設計・製図ではなく、ユーザー体験をデザインするためのトータルプラットホーム“POWER'BY戦略”を進めている。今後新たに、他のCADソフトもこのプラットホームに統合する計画で、まずは自社のCATIA V5、SOLIDWORKSを対応させたあと、シーメンスやオートデスク、PTCといった他社製品も統合できるようにしていく。既存のCAD資産を活用しながら、新しい3Dエクスペリエンスの世界への移行を促す作戦だ。(ENOVIA事業部)

 また、シミュレーション(SIMULIA事業部)では、有力ベンダーのM&Aを通してマルチフィジックス/マルチスケール領域の幅を大きく広げてきており、柔軟性・連続性・結合性・精度に優れた解析ソフト群を連携させることによって、複合領域におけるモデリング環境を充実させていく。

 さらに、DELMIA事業部では3Dエクスペリエンスプラットホームおけるデジタルマニュファクチャリング環境を整備。生産システムの設計や生産計画の立案、製造オペレーション管理まで、やはりM&Aを通してさまざまなソリューションを整備してきている。工場内のデジタルコラボレーションを推進する新製品「3D Lean」も投入されている。

 一方、国内における第2の戦略目標は新規業界への進出。すでに、ライフサイエンス、エネルギー・プロセス、建築・建設、CPG・小売りなどへ展開している。とくに、BIOVIAブランドはマルチスケールの最も微細な部分である分子・原子レベルからナノスケールを対象としたモデリング&シミュレーション領域をカバー。創薬研究だけでなく、ラボ情報管理や臨床・安全性試験の支援、開発・製造支援、申請や規制対応まで、ライフサイエンス業界向けの統合ソリューションを用意している。それに加え、最近ではSIMULIA事業と直接連携できる材料シミュレーション分野での実績が拡大しているという。

 同社グループでは、ソリッドワークスとダッソー・システムズ・バイオビアが別法人となっており、山賀社長がそれぞれの日本法人の社長も兼務しているが、今回、今年7月にバイオビアを本社に統合する計画を明らかにした。この組織再編はグローバルでも同じタイミングで行われる。別会社ではなく一体化することで、さらなるシナジーを図る考えだという。なお、ソリッドワークスは別会社としてそのまま存続する。

 さて、第3の戦略目標は新しいビジネスモデルの導入。グローバルで今年2月に発表された「3Dエクスペリエンス マーケットプレイス」を日本でも開始する。これは、3Dエクスペリエンスプラットホーム上で売り手と買い手をマッチングさせるサービス。オンデマンド製造サービス「Make」とインテリジェント部品調達サービス「Part Supply」がスタートしており、買い手には売り手を見比べて選べる利点がある。すでに反響が大きく、「Make」に登録しているデジタル製造サービス事業者はスタート時には50社だったが、すでに200社に増えているという。CADの設計画面の中から、設計した部品の試作依頼を出すことなどができる。

 そのほか、日本法人の施策として、経団連に一昨年、新経連に昨年加入しており、日本の経済界との関係を引き続き強化していく。また、新卒や若年層、女性の採用を促進するとともに、ボランティア休暇制度の創設など、働き方改革にも率先して取り組むとしている。

******

<関連リンク>:

ダッソー・システムズ(トップページ)
https://www.3ds.com/ja/


ニュースファイルのトップに戻る