2018年夏CCS特集:アスムス
半導体材料開発などで実績、外部ソフトとの連携強化
2018.06.20−アスムスは、材料開発のための原子スケールシミュレーター「matelier」(マテリエ)を開発。外部プログラムとの連携など機能を強化してきており、次世代半導体材料や誘電体開発、スペクトル予測(ラマン、赤外線、X線)などの用途で実績をあげてきている。
matelierは、東京大学生産技術研究所を拠点に行われた文部科学省プロジェクトで開発された第一原理バンド計算ソフト「PHASE/0」を計算エンジンのコアに採用したシステム。同社は、実際に同プロジェクトにかかわった技術者らが設立した企業で、商用版としてGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の開発や外部ソフトとの連携機能などを追加して提供している。
とくに、昨年から本格的にサポートしているのが、最大局在ワニエ関数解析プログラムWannier90。PHASE/0で計算した電子状態からタイトバインディングハミルトニアンを導出し、それを対角化することによってバンド構造図やフェルミ面を高速に求めることが可能。また、半古典輸送係数計算プログラムBoltzTraPは、ボルツマン方程式に基づいてバンド構造から輸送係数などを計算するもので、PHASE/0からBoltzTraPに連携することで熱電材料の研究に適用できる。
さらに、PHASE/0のファミリーである擬ポテンシャル算出ソフトCIAOを一般ユーザーにも使いやすく改良したほか、最近では第一原理計算プログラムQuantumESPRESSO、分子動力学計算プログラムLAMMPSとの連携も強化してきている。
同社では、実際の研究での活用をサポートするため、セミナーや講習会などの充実を図っている。独自にハンズオン形式の体験セミナーを実施しているほか、東大生産技術研が主催しているPHASE/0利用講習会にも共催している。また、PHASE/0は海洋研究開発機構が保有する地球シミュレータで動作するため、民間企業が利用したい場合の相談窓口にもなっている。