2018年夏CCS特集:分子機能研究所

ドッキング解析機能を拡充、外部ソフトとの連携強化

 2018.06.20−分子機能研究所は、米ハイパーキューブの統合分子モデリングソフト「HyperChem」をベースに、独自技術を盛り込んだ創薬支援パッケージを開発。さまざまな手法に対応できるドッキング解析や、生体高分子の全系量子力学計算など先進的な機能で注目されている。

 同社の製品は、HyperChemの基本機能を使用しつつ、最新の外部プログラムを組み合わせたSBDD(ストラクチャーベースドラッグデザイン)のための統合システム。「Homology Modeling for HyperChem」(HMHC)と「Docking Study with HyperChem」(DSHC)の2種類があり、それぞれ今年春にバージョンアップされたばかり。

 とくに、DSHCではドッキング解析ソフトのスタンダードになりつつあるAutoDock Vinaに対応。バッチファイルを連続的に実行するインターフェースを開発し、バーチャルスクリーニングに利用できる機能を実現した。もともと、誘導適合効果を超える大きな構造変化にも対応できるフレキシブルドッキング、周辺の化合物や置換基などからの立体電子影響下でのフレキシブルドッキング、あるいは速度重視の高速モードなど多様な機能を持っていたが、今回のVinaのサポートでさらに選択肢が増え、機能が充実したことになる。

 また、HMHCは、タンパク質とリガンドとの結合親和性を高精度に評価するため、分子動力学ソフトNAMD、量子化学ソフトGaussian、フラグメント分子軌道法ソフトABINIT-MPを連携させて利用するインターフェース機能を実装した。

 ユーザーからの要望に応え、HyperChemサイトライセンス版にも正式に対応したことで、今後は大学などの教育用とでも利用が増えると期待されるという。また、創薬研究だけでなく、HMHCからGaussianを呼び出すことで、有機ELや薄膜太陽電池などの材料研究にも利用しやすいとしている。


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