パトコアが化合物特許実験項の作成支援システム
ELNから必要な情報を収集、独自技術で正確な検索
2018.04.14−パトコアは、電子実験ノートブック(ELN)から情報を引き出すことにより化学物質に関する特許明細書作成を効率化するシステムを開発、「QuickPat」の名称で販売開始した。膨大な実験データを洗い出す必要があるため、時間と手間のかかる実験項作成作業を3分の1以下に短縮することが可能だという。同社では、各種のELNや社内データベースと接続するためのインテグレーションサービスを含めて提供していく。
製薬会社などでは、日々実施する合成実験の中で薬理活性のある新規な化合物が得られた際、それを特許出願することが多い。最近ではELNの整備が進み、過去の実験データにアクセスしやすくなってきているが、特許明細書実験項に必要なデータを集めるには特殊なノウハウがあり、作業をなかなか効率化できないのが課題だったという。
「QuickPat」は、同社が実際の顧客向けにカスタム開発したシステムをベースにパッケージ化した製品。ELNや化合物・活性データベースなどの社内情報資産を利用し、明細書出力までを半自動的に行う機能を持っている。知財担当者と合成研究者らがチーム横断的に情報共有・連携を図りつつ、効率良く作業を進めることが可能。
具体的な流れとしては、まず実施例からELN内を出発原料までさかのぼって検索、ベストモードを選択するなどして自動取得したスキームを整理、実験項で使用するロットを確定したあと、オートテキスト支援やデータチェック支援機能を使って実験項を整理しデータ確認した上で、実験項の定型文を自動作成することを含めて特許明細書の原案を出力する。
とくに、ELNのデータを検索する際、実施例を起点に出発原料までさかのぼって順次反応検索を行うが、単純な検索では大量のデータ反応群がヒットし、そのままでは利用できない。「QuickPat」では、収率、収量、合成者などで優先的にルートを探索し、ループに陥った際の対策も考慮している。この技術は同社独自のもので特許申請中となっている。
接続するELNやデータベースシステムはメーカーを問わないが、インテグレーション作業が必要になるため、そのための構築サービスを合わせて提供する。また、特許明細書作成ポリシーを顧客ごとに調整するサービスも行っていく。
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