中国サンダーソフトがAI/IoTで日本市場に大幅投資
今後3年間に200億円、スマホ向けプラットホーム技術活用
2018.05.10−中国のサンダーソフト(趙鴻飛=チョウ・コウヒ会長兼CEO)は8日、都内で記者会見し、新たな事業分野として強化する人工知能(AI)を応用したIoT、スマートデバイス、スマートカーなどの分野で、日本市場に対し今後3年間で200億円を投資すると発表した。同社はスマートフォン向けの組み込みソフト開発プラットホームで大きな実績を築いており、限られたリソースで高度なソフトウエアを稼働させるノウハウをAI/IoT分野に生かそうとしている。将来的には、日本に研究開発組織を立ち上げ、日本発の技術を取り入れグローバル展開していく青写真を描いている。
同社は今年が設立10周年。十数人でスタートしたが、現在は社員3,200人、世界8ヵ国/20都市に拠点を構えている。昨年の売り上げは12億人民元(約190億円)で、そのうち30%弱が日本市場(設立の翌年に日本法人開設)からのもの。今年は、売り上げ30〜50%アップを見込んでいるという。
とくに、スマートフォン向けのOSやミドルウエア技術を得意としており、開発用の統合プラットホームを提供。スマートフォンメーカーに対し、組み込みソフトの受託開発やコアボードの開発サービスにも取り組んでいる。すでに、国内メーカーのスマートフォンにも多く採用されている。
今回、趙CEOは「今後の10年はAIが重要になる」と予測。「クラウドで学習を行い、エッジで推論するというスタイルが主流になり、エッジデバイス上でニューラルネットワーク型アルゴリズムを実行するケースが増える」とする。まずは、デバイス上で画像認識や音声認識を行うための技術開発を推進してきている。
とりわけ、日本市場とのからみでアプリケーションとして狙っているのが“スマートIoT”の分野。すでに「TurboX」と呼ぶソリューションを開発ずみで、組み込み製品に最適化し、高品質・短期間での製品開発が可能なシステムオンモジュール(SoM)を提供している。AI機能を搭載できる大小さまざまなコアモジュールを用意しており、スマートIoTデバイス開発に利用することが可能。クラウドを含めたトータルパッケージで製品化している。
一方、スマートカーに関しては、昨年2月にフィンランドのライトウェア社を買収し、自動車に搭載される液晶パネル式ユーザーインターフェース開発ツールを提供中。車載向けUIエンジン「Kanzi」はアウディが10車種で採用しているほか、2022年にはグローバルに搭載車が2,000万台以上に増えると見込んでいるという。今後は、カーナビやオーディオも含めた統合コクピットソリューションに力を入れていく。
日本市場に対しては、スマホ関連の既存事業を維持しつつ、スマートIoTデバイス分野に新たにフォーカスし、今夏にはTurboX SoM プラットホームを販売開始する。また、AI技術を持つ国内の企業を対象に、投資や買収などを行う計画。今後3年間で200億円をつぎ込む予定だ。さらに、日本で独自に研究開発を行う体制を築き、エッジコンピューティングや組み込みAIの技術開発を行っていきたいとした。
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