結晶構造データを登録・検索する統一ポータルサイト開設

英CCDCと独FIZカールスルーエが共同で、有機・無機の区別なく利用

 2018.08.02−英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)と独FIZカールスルーエは、両機関に対する結晶データの登録および検索・閲覧を一括して行える共通ポータルサイトが完成し、このほどサービスを開始したと発表した。利便性を高めることで、世界中の研究グループから集めるデータを増やすのが狙い。有機物・無機物を気にかけることなく、結晶構造を登録したり検索したりできるため、結晶学データを必要とする幅広い研究分野に恩恵となるという。

 CCDCのケンブリッジ結晶構造データベース「CSD」は、有機化合物・有機金属化合物の結晶学データに関する世界的なリポジトリーで、現在は95万件以上の分子性結晶構造を収録。一方、FIZカールスルーエの無機化合物結晶構造データベース「ICSD」も19万9,000件のデータを収載している。

 とくに最近、電池やガス貯蔵システム、ゼオライト、触媒、磁石、燃料添加剤などの分野では、無機物と有機物の区別が明確なものではなくなってきており、どちらの機関のデータベースに登録するかを迷うケースもあったという。また、データベースのコンテンツ自体は、論文から人手によってキュレーションすることが基本だが、実際に結晶構造を測定したにもかかわらず、論文に載るのはそのうちの15%くらいにすぎないともいわれている。

 そこで、今回のポータルの「Deposit Structures」(https://www.ccdc.cam.ac.uk/deposit/)のページから、論文投稿する予定のないCIF(Crystallographic Information File)データも積極的に登録するよう、幅広い研究者に呼びかけている。登録自体は無償で行うことができ、データの有効性・完全性・独自性に関して研究者の注意を喚起するさまざまなチェック機能も有している。また、登録番号が迅速に付与され、直ちにデータを公開することも、論文刊行と同時に公開するように設定することも可能。論文に投稿しない場合も登録者の名前がデータベースに残ることがメリットになる。

 一方、ポータルの「Access Structures」(https://www.ccdc.cam.ac.uk/structures/)のページからは、両機関に登録されたCIFデータを無償でダウロードすることができる。登録番号、化合物名、DOI(デジタルオブジェクト識別子)、書誌情報などで検索することができる。ただ、構造式や組成式、原子間距離などで結晶構造を検索したい場合は、製品版(有償)の「CSD-System」「CSD-Enterprise」や「ICSD」を使用する必要がある。これらの国内代理店は、化学情報協会が務めている。

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<関連リンク>:

英ケンブリッジ結晶学データセンター(統一登録ポータル)
https://www.ccdc.cam.ac.uk/deposit/

英ケンブリッジ結晶学データセンター(統一アクセスポータル)
https://www.ccdc.cam.ac.uk/structures/

化学情報協会(トップページ)
http://www.jaici.or.jp/


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